JRA-VANコラム
2020年に首位を奪取した「母の父キングカメハメハ」を分析
2020年、中央競馬のブルードメアサイアー(母の父)リーディングでキングカメハメハが首位を奪取した。無敗の牝馬三冠を達成したデアリングタクト(父エピファネイア)、白毛初のG1馬となったソダシ(父クロフネ)などの活躍で約35億2000万円の賞金を獲得し、14年連続で首位だったサンデーサイレンスに約3億3000万円の差をつけて初の戴冠となった。先日の日経新春杯でもショウリュウイクゾ(父オルフェーヴル)が重賞初勝利を収め、今年も好調を維持する「母の父キングカメハメハ」についてのデータ傾向を、今回は調べてみよう。集計期間は2018年1月6日~2020年12月27日の3年間で、集計対象は平地戦のみ。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は、母の父キングカメハメハの全体成績と、芝ダート別、牡牝別(セン馬は牡馬に含む)の成績を示したもの。芝ダート別の成績では、芝のほうが好走率は高め。とはいえダートが苦手という意味ではなく、水準以上には走っている。次いで牡牝別の成績だが、その前に集計期間における全平地戦の牡牝別成績を確認しておくと、牡馬は勝率7.7%、連対率15.2%、複勝率22.7%、牝馬は勝率6.5%、連対率13.2%、複勝率19.9%で、これが標準。この数値を参考に牡牝別成績を見ると、牝馬も悪くないが、それ以上に牡馬が好成績と判断できる。
表2は、種牡馬別成績(着別度数順)を芝ダート別で表したもの。芝で最多の40勝を挙げた父ディープインパクトはダービー馬ワグネリアンなどでおなじみの組み合わせで、回収率も優秀だ。2位の父エピファネイアは2世代のみの集計対象で2位に入った。三冠牝馬デアリングタクトが出たのも納得の好成績と言える。また、エピファネイアと同期の父キズナも好走率、回収率ともに優秀で今後に期待。3位の父オルフェーヴル、6位の父ステイゴールドもなかなかの成績で、親子ともども好相性を示している。ダートでは1位の父ゴールドアリュールに注目だ。
表3は、競馬場別成績を芝ダート別で表したもの。芝は平均的に走っている印象で、そのなかで比較的得意なのは阪神、やや数字を落とすのが福島といったところか。対するダートでは札幌の複勝率42.6%が突出しており、複勝回収率118%も優秀。惜しむらくは9勝に対して2着16回、3着15回と勝ち切れない点だが、ダートの得意競馬場と考えていいだろう。
表4は、距離別成績を芝ダート別で表したもの。芝ダートに共通する特徴として、距離が延びるほど好走率が高くなることが挙げられる。この傾向がより顕著なのはダートで、1600m以下と1700m以上では好走率、回収率ともに大きな差がついている。
表5はクラス別成績。目につくのがオープン特別やリステッド競走の好成績で、重賞に入っても好走率をしっかりキープしている。また、平場戦より特別戦のほうが好成績であることを考えても、相手が強くなっても十分に通用している様子が読み取れる。
表6は人気別成績。1番人気から7番人気まで単勝回収率が80%を超えているように、上位から中位にかけての人気の成績が軒並み良好。新聞紙上で印が回っているレベルの馬の信頼性は水準以上と考えられるだろう。
表7は騎手別成績で、着別度数順と単勝回収率順(騎乗50回以上)で各5位まで掲載している。着別度数順で1~3位の福永祐一騎手、川田将雅騎手、C・ルメール騎手は好走率だけでなく回収率も良好。特に福永騎手の単勝回収率は100%を優にオーバーしており、単勝回収率順でも4位にランクイン。ワグネリアンやインディチャンプ(父ステイゴールド)でG1を制した実績通りの好相性を示している。単勝回収率順では、20年中京記念で18番人気のメイケイダイハード(父ハードスパン)を重賞制覇に導いた酒井学騎手が飛び抜けた数値を記録。2位の松若風馬騎手や3位の田辺裕信騎手は好走率も高く、この両騎手が母の父キングカメハメハに騎乗した際も期待できそうだ。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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