JRA-VANコラム
2年ぶりに中京に戻るダートG2・東海S分析
フェブラリーSの西の前哨戦として定着してきたダート重賞の東海S。昨年は京都で行なわれたが、今年は2年ぶりに中京での開催に戻る。そこで、今年と同じ1月、中京ダート1800mで行なわれた7年分のデータをもとに、レース傾向を分析してみたい。
今週末の重賞は中山のAJCCと中京の東海Sの2レースで、今回はフェブラリーSの西の前哨戦である後者のレース傾向を分析する。昨年は京都で行なわれたが、今年は2年ぶりに従来の中京ダート1800mでの開催。そこでデータの集計期間は、今年と同条件の13年から19年の7年分とし、直近の20年についても補足するかたちで話を進めていきたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は人気別成績。集計対象の7年分において、1番人気は5勝3着2回、凡走なしという強さを見せている。残る2勝はいずれも4番人気が挙げており、単勝オッズでいえば7倍未満の馬しか勝っていない。1~3着でいっても、延べ21頭中14頭を1~4番人気が占めており、平均して馬券圏内の3頭のうち2頭はここから出ている計算となる。
京都開催の20年も2番人気→3番人気→1番人気の決着で、競馬場が変わっても上位人気馬が強い傾向は同様だった。
表2は年齢別成績。主力となる5歳は、好走数、好走率、回収率のすべてで他の年齢を圧倒している。次いで好走率が高いのは4歳。好走馬4頭の内訳を確認すると、1番人気が2頭、2番人気と4番人気が各1頭と、上位人気ばかりとなっている。6歳や7歳、8歳以上にも好走例はあるが、好走率は大きくダウン。また、5歳以外の1着馬は、3頭とも1番人気だったことも付記しておきたい。
昨年も5歳のエアアルマスが1着で、5歳馬が強い傾向は変わらず。以下、2着に7歳のヴェンジェンス、3着に6歳のインティと入った。
表3は前走クラス別成績。なお、地方交流重賞に出走していた馬は、すべて合算して地方と表している。好走率がもっとも高いのはその「前走地方」で、好走馬4頭中3頭を占める東京大賞典組については表5の項で別途データを提示する。前走地方で好走したもう1頭は、名古屋グランプリ1着から臨んだ19年2着のチュウワウィザードだ。「前走G1」も差のない複勝率を記録しており、もちろん有力。こちらは次の表4の項で関連するデータを見ていく。「前走オープン特別」は好走率ではやや見劣るが、好走例は7頭と最多。しっかりと見極めていきたいところで、表6の項でデータを補足する。「前走G3」からは16年のモンドクラッセ、17年のモルトベーネと2着馬が2頭出ており、ともに前年11月のみやこS以来の出走だった。「前走3勝クラス」も複勝率28.6%と侮れないが、今年は該当する登録馬がいない。
昨年の1着馬エアアルマスは、G3・武蔵野S11着からの巻き返しで、これは中京開催では見られなかった好走パターンだ。2着のヴェンジェンス、3着のインティはともに前走でG1・チャンピオンズCを走っており、それぞれ7着、3着という結果だった。
表4は、前年のチャンピオンズC出走馬について、そこでの人気、着順、タイムとの関係をまとめたもの(前身のジャパンCダートを含む)。なお、このデータは前走チャンピオンズCに限らず、そのあと別のレースを挟んだ馬も含むことにご注意いただきたい。傾向としてはわかりやすく、チャンピオンズCで「1~5番人気」「1~5着」「0秒9以内」のどれかを満たしていれば、東海Sで好走するチャンスは大きい。該当しないケースでも複勝率30%前後と軽視はできないため、どれかに当てはまればさらに有力というスタンスで臨みたい。
表5は前走東京大賞典出走馬の着順別成績。東京大賞典で2着だったコパノリッキー、3着だったニホンピロアワーズはいずれも東海Sを制しており、該当馬がいれば有力。もう1頭の好走馬であるナムラタイタンも東京大賞典4着からで、いわゆる掲示板外の6着以下に敗れていた3頭は、東海Sでも好走には至らなかった。
表6は前走オープン特別出走馬について、着順別とレース別の成績を示したもの。なお、好走例がないレースは「その他」にまとめた。着順別成績を見ると、好走した7頭中6頭は4着までに入っていた。もう1頭、師走S12着から巻き返した18年2着のコスモカナディアンの例はあるが、基本的には掲示板は確保しておきたい。レース別では、好走した7頭のうち半数以上の4頭が師走S組。3着馬を1頭出したフェアウェルS(現在は3勝クラス)と合わせ、前年12月に中山ダート1800mで行なわれたオープン特別から計5頭が好走している計算となり、注目すべきローテーションと言えそうだ。あとは、前年12月のベテルギウスSで2着だったアスカノロマンが16年1着、前年5月の青竜S以来だったスマハマが19年3着という好走例がある。
最後にもうひとつ傾向が出ているデータとして、「中央ダート1800mの複勝率別成績」を見ておきたい。この通り、東海Sと同じダート1800mで複勝率50%以上を記録している馬と、50%未満の馬では好走例、好走率ともに大きな差がついている。50%未満で勝った唯一の存在は、前年のフェブラリーSなどすでにG1(地方交流重賞を含む)を3勝していた15年のコパノリッキーで、さすがに実績が格別。ほかに2着に入った馬も2頭いるが、基本的には複勝率50%以上を満たしておきたい。
以上のデータに基づき、今年の東海Sで有望と思われる馬の名前を挙げていきたい。
出走登録のある16頭のうち、昨年のチャンピオンズCに出走していたのはインティとアナザートゥルースの2頭。このうち、0秒4差の3着に入っていたインティは有力な存在だろう。19年1着、20年3着ときて、どのような結果が待っているだろうか。
前走地方では、東京大賞典の1~5着馬が好成績を収めている。ただし、今年登録があるのは7着のハナズレジェンドのみ。ほかに前走地方は2頭おり、そのうち船橋のクイーン賞5着から臨むメモリーコウは中央のダート1800mで複勝率100%を記録している点で侮れない。
前走オープン特別(※今回の集計対象では出走例のない前走リステッド競走も便宜上同様に扱う)は5着までには入っておきたいところ。登録馬で該当するのは全部で6頭。そのなかでもオーヴェルニュ、ケイアイパープル、ハヤヤッコ、ダノンスプレンダーは、好走率の高い「5歳」「ダート1800mで複勝率50%以上」にも合致している。残るタイキフェルヴールとデュードヴァンも好走例の多い師走S組であり、一定の注意は払っておきたい。
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