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JRA-VANコラム

クロフネと、その産駒の活躍を振り返る

2021年1月25日 11:35配信
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2001年のNHKマイルCとジャパンCダート(現チャンピオンズC)を制し、史上初となるJRA芝・ダート双方でのG1制覇を達成したクロフネ。種牡馬としてもカレンチャン(スプリンターズS、高松宮記念)などを出し成功を収めた後、2020年をもって種牡馬を引退していたが、去る1月17日に老衰のため死亡した。今回はそのクロフネの現役時代や、産駒の活躍を振り返ってみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 クロフネ(1998年生・芦毛・米国産)の3代血統表

クロフネは1998年生まれの米国産馬。父フレンチデピュティ、母ブルーアヴェニューという血統で、父母とも後に日本へ輸入され繁殖馬として繋養された。

父フレンチデピュティ産駒の外国産馬としてはほかにノボジャック(JBCスプリント)などが活躍。内国産のフレンチデピュティ産駒にはエイシンデピュティ(宝塚記念)やアドマイヤジュピタ(天皇賞・春)、サウンドトゥルー(チャンピオンズC)などがいる。また、母ブルーアヴェニューの子孫からは、スプリングSを制したマウントロブソン(クロフネの甥)などが出ている。

■表2 クロフネの出走履歴

クロフネは2000年秋の新馬戦でデビューし2着。2戦目の新馬戦(当時は同一開催内であれば新馬戦に複数回出走可能)を勝ち上がると続くエリカ賞も制し、同年末のラジオたんぱ杯3歳S(現ホープフルS)で重賞初挑戦となった。結果は3着に敗れたが、勝ったのはアグネスタキオン、そして2着はジャングルポケットと、翌春の皐月賞馬と日本ダービー馬が相手だった。

翌01年は毎日杯で始動し、5馬身差の圧勝で重賞初制覇。当時の皐月賞は外国産馬に出走権がなかったため次走はNHKマイルCとなり、単勝1.2倍の断然人気に応えG1制覇を飾った。そして、この年から外国産馬にも開放された日本ダービーに出走。前述のアグネスタキオンは不出走(その後、復帰には至らず引退)で、クロフネはジャングルポケットに続く2番人気に支持されたが、直線で伸びきれず5着に敗退した。

秋は神戸新聞杯からのスタートになったが、ここも3着に敗退。目標としていた天皇賞(秋)は「外国産馬2頭」の枠に入れず、その前日の武蔵野Sで初めてダート戦に出走した。すると、2着イーグルカフェ(前年のNHKマイルC、翌年のジャパンCダート優勝馬)になんと9馬身差をつける大楽勝。東京ダート1600mの勝ち時計1分33秒3は、自身が芝のNHKマイルCで記録した1分33秒0に0.3秒差まで迫る衝撃的な大レコードだった。さらに、続くジャパンCダートでは2着ウイングアロー(前年のフェブラリーS、ジャパンCダート優勝馬)に7馬身差をつけ、2戦連続でのレコード勝ち。同時に史上初、JRA芝・ダート双方でのG1制覇を達成した(後に同年のJRA賞最優秀ダートホースを受賞)。

この強さを目の当たりにしたファンからはドバイなど海外での活躍も大いに期待されたが、屈腱炎を発症して引退、種牡馬入りすることとなった。ミスタープロスペクターや、ヘイロー~サンデーサイレンスの血を持たず、ロベルトやノーザンダンサーも4代前となるクロフネは配合相手を選ばず、種牡馬入り初年度から152頭、2年目には201頭もの交配相手を集める人気種牡馬となった。

■表3 クロフネ産駒のJRA重賞優勝馬

ダート戦で圧倒的な強さを見せた一方で、芝では超一流馬相手にはやや及ばない感もあった現役時のクロフネ。産駒はダート巧者が中心になる可能性もありそうだったが、初年度産駒のフサイチリシャールが東京スポーツ杯2歳S(東京芝1800m)で2歳コースレコード勝ちを収めると、続く朝日杯FSでG1制覇。2世代目のスリープレスナイトは当初ダートで勝ち鞍を重ねたが、4歳時に芝路線へ転身してスプリンターズS優勝と、初期の産駒から芝のG1優勝馬を出した。

その後、カレンチャンが2011年のスプリンターズS、12年の高松宮記念と秋春スプリントG1連覇を達成。ほかにもホエールキャプチャやアエロリットなど、全体としては芝の1800m以下を主戦場とする牝馬が目立つ。現3歳世代では、昨年の2歳女王・ソダシのさらなる活躍に大きな期待が寄せられているところだ。なお、表のほかにホワイトフーガ(2012年生、JBCレディスクラシック連覇)などが、地方競馬で行われたダートグレード競走制覇を果たしている。

■表4 クロフネ産駒の芝・ダート距離別成績

表4は、クロフネ産駒の芝・ダート距離別成績を調べたものである(2021年1月17日現在)。芝では距離が短ければ短いほど好走確率は高く、ダートは距離不問。おおむね表3で挙げた主な産駒の傾向に近いが、勝ち鞍は芝376に対しダート1003。ダート向きの産駒が多い中で、芝に対応できるスピードを見せた馬のほうがG1級まで出世しやすいと言えるだろうか。また芝でも、長距離適性を見いだされ2500m以上を狙って出走するような馬であれば好走確率は高くなっている。

以上、クロフネとその産駒の活躍を振り返ってみた。産駒は牝馬の活躍が多い一方、牡馬ではフサイチリシャールが既に種牡馬を引退し、現時点での後継種牡馬はテイエムジンソク1頭のみ。クロフネにとってラストクロップとなる現2歳世代(種牡馬引退は昨年だが、最終種付けは2018年)から、その後を継ぐ馬が出現することを期待したい。一方、母の父としては既にノームコア、クロノジェネシス姉妹がG1を制覇。今後もクロフネの血を引く活躍馬は多く誕生してくるに違いない。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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