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JRA-VANコラム

桜花賞へ向けて注目の一戦! チューリップ賞を分析する

2021年3月4日 13:45配信
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3月に入り、新人騎手がデビューを迎え、3歳クラシックは本番が徐々に近づきつつある。今週は土曜に阪神でチューリップ賞、日曜に中山で弥生賞ディープインパクト記念と3歳重賞が2鞍組まれている。今週末は東西とも日曜にかけて天気は下り坂になりそうで、土曜に行われるチューリップ賞の方が影響は少なそうだ。今回は2016年以降・近5年のチューリップ賞ならびに阪神芝1600mで施行された3歳戦のデータから馬券的に狙えそうな馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 チューリップ賞近5年の3着以内馬一覧

まず表1はチューリップ賞近5年の3着以内馬一覧。近5年すべて良馬場で行われ、勝ちタイムは1分32秒8~34秒1と速めの時計が出ている。前半800m通過を見ると平均~スローペースで、上がり33秒台の瞬発力勝負となっている。4コーナー通過順を見ても、逃げた馬は昨年1番人気3着のレシステンシアのみと厳しく、直線で速い脚を使える決め手のあるタイプが好走している。

人気順では1番人気馬は【3.1.1.0】、一昨年のダノンファンタジーら3勝で、複勝率100%と安定している。1番人気馬5頭の前走は阪神JF1着が昨年のレシステンシアら4頭、シンザン記念2着が1頭とすべて重賞で連対していた。2番人気馬は【1.1.2.1】で16年シンハライトが勝利し、複勝率80%と高い。3着以内馬4頭はいずれも前走で3着以内に入っていた。

勝ち馬5頭を含む連対馬9頭は上位4番人気以内で、5番人気以下では7番人気馬が【0.1.1.3】、10番人気馬は16年にラベンダーヴァレイが3着に入っている。

■表2 チューリップ賞近5年のキャリア別成績

表2はキャリア別成績。勝ち馬5頭中4頭は3~4戦の馬から出ているものの、複勝率で目立つのは黄色で強調した1~2戦の馬だ。2戦の馬は16年シンハライトが勝利し、連対率33.3%・複勝率44.4%と優秀だ。1戦の馬はサンプルが少ないものの、17年ミスパンテールが2着、もう一頭も18年サラキアが4着でキャリアの浅さが苦になっていない。キャリアが増えるごとに連対率・複勝率は低下する傾向にあり、5戦以上からは3着以内馬が出ていない。

■表3 チューリップ賞近5年の前走レース別成績

表3は前走レース別成績。出走数が多い阪神JF組は前走着順別成績も示した。阪神JF組からは昨年のマルターズディオサら近4年続けて勝ち馬が出ており、全体の複勝率も50%と高い。ただし前走着順別成績では、3着以内馬8頭はすべて前走阪神JF3着以内で、4着以下だった6頭はすべて馬券圏外に敗れている。

紅梅S組の1勝は16年シンハライト。シンザン記念組、クイーンC組は2着1回ずつ。これらの組で連対した2頭は前走で5着以内に入っていた。

■表4 チューリップ賞近5年の前走上がり順位別成績

表4は前走上がり順位別成績。黄色で強調した前走で上がり順位2位以内だった馬の複勝率が高い。表1でチューリップ賞は瞬発力勝負になりやすいと述べたが、前走で速い上がりを使えていた馬が好走しやすい傾向にあるようだ。

前走上がり1位の馬は18年ラッキーライラックが勝利し、複勝率40%。前走上がり2位の馬が一昨年のダノンファンタジーら最多の3勝をあげ、複勝率45.5%と前走上がり1位を上回っている。対して、前走上がり4位以下で好走したのは昨年1着マルターズディオサ(前走阪神JF2着)、18年2着マウレア(前走クイーンC5着)の2頭のみだった。

■表5 チューリップ賞近5年の種牡馬別成績

表5は種牡馬別成績。出走数最多のディープインパクト産駒が一昨年のダノンファンタジーら2勝をあげ、複勝率31.3%。他ではディープインパクトの子であるキズナの産駒は昨年のマルターズディオサ、Frankel産駒は17年ソウルスターリング、オルフェーヴル産駒は18年ラッキーライラックがそれぞれ勝利している。

他では勝ち星こそないものの、ダイワメジャー産駒・ハーツクライ産駒が複数の好走馬を出しており、連対率・複勝率でディープインパクト産駒を上回っている。

■表6 阪神芝1600mで施行された3歳戦の種牡馬別成績(2016年以降/1勝クラス以上)

表6は2016年以降に阪神芝1600mで施行された1勝クラス以上の3歳戦における種牡馬別成績。出走数はディープインパクト産駒が圧倒的に多く、最多の6勝をあげているが、複勝率は23.1%とそれほど高くない。

エピファネイア産駒は昨年の桜花賞でのデアリングタクトら2勝をあげ、複勝率50%と優秀だ。昨年のチューリップ賞では同産駒イズジョーノキセキが10番人気ながら上がり最速の脚で僅差4着に入っている。他ではダイワメジャー産駒・ハーツクライ産駒が表5と同じように連対率・複勝率でディープインパクト産駒を上回っている。また、今回のチューリップ賞では出走予定馬がいないものの、オルフェーヴル産駒が好相性なのは覚えておきたい。


<結論>

■表7 今年のチューリップ賞の出走予定馬(3/3現在)

今年の出走予定馬は表7のとおり。

人気を集めそうなのが前走阪神JFで4着だったメイケイエール。阪神JFではスタート後方ながら掛かり気味に中団まで進出。直線では大外から突き抜けそうな脚を見せたものの、残り200mで苦しくなった。折り合いが最大のポイントだが、芝1600mはこの馬にはやや長い印象もある。データ的にも阪神JF4着以下は鬼門となっており、実績こそ抜けているものの、絶対視は危険と見る。

キャリア別成績から狙ってみたいのが2戦のエリザベスタワー。前走中京で行われたエルフィンSは9着と敗れたものの、昨年末に阪神芝1600mの新馬戦では上がり最速となる33秒6の脚で快勝している。勝利経験のあるコースに替わって一変も十分に期待できる。

他では阪神芝1600mと好相性のエピファネイア産駒からテンハッピーローズを挙げておきたい。前走のフェアリーSは4着に敗れたが、緩みのない流れで早めに勝ちに行ってしまった。溜める競馬をすれば、切れる脚を使えるタイプだ。

他では同じエピファネイア産駒のレアシャンパーニュ、キャリア2戦で前走上がり最速タイのバリコノユメ、キャリア5戦も前走上がり2位のタガノディアーナが穴候補だ。

ライタープロフィール

ケンタロウ(けんたろう)

1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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