JRA-VANコラム
2歳世代最初の重賞競走・函館2歳Sを分析する
JRAに所属する2歳馬にとっては最初の重賞競走となる函館2歳S。一昨年の覇者・ビアンフェが今年の函館スプリントSを制したほか、2015年のブランボヌール(キーンランドC)や2018年のアスターペガサス(函館スプリントS2着)と、このところは翌年以降にこの北海道の短距離重賞で好走する馬が続々と出現している。そんな函館2歳Sの過去の傾向を分析したい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、集計期間は本競走が7月の施行になった2012年以降の9年間とした。
昨年は単勝10番人気のリンゴアメが優勝し、3連単57万馬券となった函館2歳S。2桁人気馬が【1.2.3.54】と計6頭好走しており、3連単は10万馬券以上が9年で4回。他の5回も3万円は超えており、平穏な決着は考えづらいレースだ。ただ、そのリンゴアメ以外の優勝馬8頭は4番人気以内から出ている。1着候補には人気馬を据え、2、3着候補に穴馬を拾ったほうが的中には近いレースだ。
2011年以前は本競走の前にオープン特別・ラベンダー賞が行われていたが、2012年に本競走の施行時期が繰り上がったのを機に休止されており、以降のJRA勢はすべて前走で新馬戦か未勝利戦を勝ち上がってきた馬ばかりになっている。前走新馬戦組は【7.7.8.71】で複勝率23.7%、未勝利戦組は【2.2.1.24】同17.2%と、好走馬数、好走確率とも新馬戦組が優勢だ。
ただ、未勝利戦組でも2着馬に0.3秒以上の差をつけてきた馬は【1.2.0.5】連対率37.5%をマークしており要注意。一方、新馬戦組は2着馬を0.6秒以上離す快勝を収めた馬や、同タイムの接戦を制してきた馬の好走確率が高い。
なお、JRA勢だけで見ると、性別では牡馬【5.5.5.48】複勝率23.8%、牝馬【4.4.4.47】同20.3%だが、牝馬の好走馬12頭中11頭は新馬戦組で、未勝利戦組は【0.1.0.11】に終わっている。
続いて表3は前走競馬場別成績である。本競走と同じ函館で出走していた馬が【9.8.6.76】、他場(中央)組は【0.1.3.19】と、これまでは函館組が他を圧倒していた。しかし、今年の北海道開催は例年とは異なり札幌で開幕したため、函館組は連闘または中1週になってしまう。そこで函館組についてレース間隔別の成績も調べると、中1週以下【1.4.1.30】複勝率16.7%、中2週以上【8.4.5.46】同27.0%となった。今年は函館組にこだわらず、中2週以上になる札幌組を重視しても良さそうな印象だ。なお、これまでの他場組は中2週と中6週から好走馬が2頭ずつ出ていた。
最後に枠番別成績も掲載するが、例年は2回函館最終週でBコース、本年は1回函館5日目でAコースという違いがある。過去9年で複勝率がもっとも高かったのは3枠の44.4%で、次いで6枠の27.8%。ただ、その間の4、5枠の成績がさほどでもないため「中枠が良い」とまでは言い切れない。
一方、5番人気以下の馬にかぎった成績を調べると、1~4枠【0.4.4.41】複勝率16.3%、5~8枠【1.1.0.54】同3.6%と、内外に二分すれば明らかに内のほうが良い。特に3、4枠が計【0.3.3.18】複勝率25.0%、複勝回収率217%の好成績だ。あくまで「例年通りなら」という話ではあるが、穴狙いなら特に3、4枠の馬には注目したい。
以上、函館2歳Sの傾向をまとめてみた。変則開催になる今年、どこまでデータが通用するか不確かな部分もあるが、レースの性格そのものに変化はないはず。平穏な決着はなく、新馬戦組や中2週以上の馬が優勢、といったあたりは今年も大いに参考にして予想を組み立てていきたい。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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