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JRA-VANコラム

サマー2000シリーズ第2戦・函館記念を分析する

2021年7月15日 16:00配信
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2020/5/10 新潟11R 新潟大賞典(G3) 1着 9番 トーセンスーリヤ(10番人気)

サマー2000シリーズの第2戦・函館記念。先週行われたシリーズ初戦・七夕賞も荒れるレースとして有名だが、この函館記念も負けず劣らず高配当が続出しているレースだ。昨年は2桁人気馬が1、2着を占め、3連単は343万馬券。今年はどんな結果になるのか、過去10年の傾向を分析したい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 単勝オッズ別成績

まず表1は単勝オッズ別の成績。単勝4倍未満だった馬は好走がなく、4倍台の好走も4.8倍だった2013年の優勝馬・トウケイヘイロー1頭だけのため、ほぼ5倍以上の馬しか馬券に絡んでいない。ただ、優勝馬は10頭中9頭が4.8倍から9.6倍の範囲内で、これを大きく上回った昨年のアドマイヤジャスタ(15番人気・77.3倍)は過去10年では例外的な存在。5~9倍台の馬が1着、穴馬が2~3着という決着が多い。

■表2 ハンデ別成績

ハンデ別でもっとも複勝率が高いのは56.5キロだが、出走2頭のうち1頭好走で50.0%のため参考外。これを除けば54キロや55キロ、該当馬はやや少ないが53キロの複勝率が高く、この53~55キロの馬に注目したい。重ハンデなら57.5キロ以上を課された実績馬が好結果を残している。

■表3 年齢別成績

年齢別では、4歳馬が複勝率30.0%など好成績を残しているが、出走馬がやや少なめな点がネック。他では出走数最多の6歳馬だけが好走確率・回収率ともかなり低いのが気にかかるが、5頭の好走馬が出ているため完全に無視もできず、他のデータも参考にしつつ取捨は考えたい。

■表4 前走クラス別成績

前走クラス別で好走馬が多いのはオープン特別組とG3組。好走確率が高いのはG3組とG2組だ。G1組は複勝率こそ悪くないが1連対止まり。また、前走条件戦組も3着1回のみで、実績馬とのハンデ差をあまり生かせていない。なお、今年は前走でダートG1(Jpn1)・かしわ記念に出走していたカフェファラオも登録しているが、前走ダート戦出走馬は過去10年【0.0.0.4】である。

■表5 前走G3、G2からの好走馬

表4で複勝率が高かったG3組、G2組の好走馬は表5の計15頭で、このうち13頭は重賞連対経験を持っていた。G3組は10頭中7頭が重賞優勝実績馬。G2組は単なる重賞ではなく、函館記念より格上のG2連対実績馬が5頭中4頭。G3組は重賞優勝実績、G2組ならG2連対実績を重視したい。

■表6 前走オープン特別からの好走馬

最後に表6は前走オープン特別組の好走馬11頭で、すべて5月以降の芝1800m戦に出走。また、前走で他場のレースに出走していたトランスワープとバイオスパークの2頭はどちらも、そのレースで馬券圏内を確保していた。

対して前走函館組の9頭は掲示板外に敗れていた馬が大半で、3着以内だったのはツクバアズマオー1頭のみ。5着以内馬もこれに加えイケトップガンしかいない。前走が函館のオープン特別だった馬について前走着順別成績を調べると、5着以内に入っていた馬は【0.1.1.28】複勝率6.7%、6~9着は【1.4.1.17】同26.1%、そして10着以下【0.1.0.6】同14.3%。前走函館のオープン特別組なら、そこで6~9着だった馬をまず狙いたい。

【結論】

表5にあった通り、函館記念は前走G2~G3組の好走確率が高い。今年の登録馬で該当するのは5頭だ。このうちG2組2頭は前走目黒記念の出走馬。アイスバブル(55キロ)は今年の目黒記念こそ8着も、2019~20年の同レースで連続2着があり表5の条件をクリアする一方、好走確率が低い6歳馬(表3)。もう1頭のディアマンミノル(54キロ)はG2で青葉賞11着が最高だが、こちらは好成績の4歳馬というプラス材料がある。どちらもハンデは「買い」(表2)のため、2頭とも馬券候補として問題なさそうだ。

G3組は3頭おり、こちらは3頭揃って6歳馬。このうちワセダインブルー(54キロ)は重賞連対実績を持たないことが減点材料で、重賞を勝っているトーセンスーリヤ(56キロ)とバイオスパーク(57キロ)は成績ひと息のハンデ56~57キロ。G2組とG3組の比較ではG3組に減点材料が多く、G2組のほうが馬券に絡む確率は高そうだ。

オープン特別組で前走芝1800mかつ、他場で馬券圏内か函館で6~9着(表6)だった馬は巴賞組の2頭。ジェットモーション(5歳・54キロ)、ドゥオーモ(8歳・53キロ)はどちらも年齢、ハンデとも問題なく、上記G3組の3頭より上位の評価をしても良さそうだ。

ただ、これらの各馬は恐らくほとんどが人気薄になる。表1本文で触れたように過去10年の優勝馬は10頭中9頭が単勝4.8倍から9.6倍から出ており、上記7頭からここに入る馬がいるとすればトーセンスーリヤだろうか。6歳馬やハンデ56キロの馬は好走確率こそ低いものの、それぞれ2頭、3頭が優勝しているため、実際にトーセンスーリヤの単勝オッズがこのゾーンに入るようなら有力な1着候補としたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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