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JRA-VANコラム

真夏の3歳ダート重賞・レパードSを分析!

2021年8月5日 16:00配信
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今週末の重賞は新潟でレパードS、函館でエルムSと、ダートのG3が2レース組まれている。昨年の当該週では前者を取り上げているため、今回は3歳限定の後者を過去10年のデータから調べてみたい。近年は波乱の決着が続いているが、今年はどんな結末が待っているのか。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 牡牝・所属別成績

表1は、牡牝別成績と東西の所属別成績をまとめたもの。過去10年はすべて牡馬が勝っているが、複勝率では牝馬も負けていない。東西別では関東馬・関西馬ともに5勝と分け合うかたち。それ以上に着目したいのが単勝回収率で、関東馬の単勝回収率194%に対して関西馬は同28%と大きな差がついている。この東西の人気傾向の違いには注意したいところだ。

■表2 人気別成績

表2は人気別成績。1番人気は4勝、複勝率80.0%という優秀な成績を収めている。ただし、その内訳を確認すると勝ち馬を出したのは15年までに限られ、16年以降は【0.2.1.2】。近年波乱が続いているのも、この1番人気の成績と関係していそうだ。次いで2番人気は水準レベルの成績と言えるが、3~6番人気は総じて低調。むしろ7番人気や9番人気、さらには10番人気以下の回収率が高く、穴を狙うのであれば思い切った判断も必要になるかもしれない。

■表3 枠番別成績

表3は枠番別成績。好走率は比較的なだらかな差にとどまるが、強いて言えば真ん中あたりの4枠や5枠の数値が高めで、外の8枠は少し落ちる。より興味深いのは回収率で、内寄りの1、2、4枠は単勝回収率、外寄りの6、7枠は複勝回収率がそれぞれ高い。つまり、穴馬が勝ち切る枠と、2、3着に突っ込んでくる枠が別になっている点に注目したい。

■表4 キャリア別成績

表4はキャリア別成績。キャリア5~10戦に収まっていれば無難で、そのなかではキャリア6戦や8戦の成績が優秀。一方、キャリア4戦以下は合算して【0.1.1.15】、キャリア11戦以上も19走で2着1回だけと振るわない。このデータを見る限り、多くも少なくもない、ほどほどのキャリアを積んだ馬がレパードSでは結果を残しやすいようだ。

■表5 前走着順別成績

表5は前走着順別成績。なお、のちの表6、表9を含め、前走予定のベルモントSを取り消した直後に出走したエピカリス(17年3着)は集計対象から省くこととする。

前走1着馬が4割弱にあたる56頭を占め、1~3着に入った例も計10頭と最大勢力となっているが、その好走率は決して高いとは言えない。勝ち切ったのは13年のインカンテーションだけで、単勝回収率は5%にとどまる。また、前走10着以下から巻き返したのは14年のアジアエクスプレスだけで、残る21頭は馬券圏外に終わっている。この表を見る限り、狙いやすいのは前走2~9着馬ということになるだろうか。

■表6 前走クラス別成績

表6は前走クラス別成績を「前走1着」と「前走2~9着」に分けて示したもので、上から順に見ていこう。前走1勝クラスは1着だった馬でも苦戦。前走2勝クラスは1勝だった馬ならチャンスあり。前走G3に該当する馬はすべてユニコーンSを走っており、「前走2~9着」馬は勝ち馬を3頭送り出した反面、あとの12頭は着外という極端な傾向が見られる。そして注目は、前走で地方戦に出走していた馬だ。前走地方1着からレパードSで3着に入ったのは11番人気、12番人気という穴馬2頭で複勝回収率342%を記録。この2頭の前走は地方交流重賞ではなかったため、盲点になっていた可能性がある。さらに注目すべきは地方戦で2~9着だった馬で、このケースで好走した11頭中10頭はジャパンダートダービーを走っていた。好走率、回収率ともに抜群の数字が残っており、注目のローテーションと言える。

■表7 前走ジャパンダートダービー出走馬の各種データ

前項でも触れた、前走ジャパンダートダービー(JDD)出走馬に関するデータを補足したのが表7。着順別成績はおさらいとなるが、9着までならチャンス十分。そして、さらに高い関連性が見られるデータとして紹介したいのが4角通過順で、JDDで4角を1~6番手で回っていた馬はかなり期待できる

■表8 前走ユニコーンS出走のレパードS1~3着馬

表8は、前走ユニコーンS出走のレパードS1~3着馬をまとめたもので、前走(ユニコーンS)と2走前の結果を掲載している。この4頭に共通するのが、前走のユニコーンSで「1~3番人気」か「3着に入る」のどちらかひとつは満たしていたこと。また2走前は、芝の皐月賞に出走したアジアエクスプレスを除く3頭はいずれも勝利を挙げていた。ユニコーンS組はこのあたりに注目してみたい。

■表9 距離延長・同距離・短縮別成績

表9は、前走との距離比較を示したデータ(前走地方を含む)。距離延長馬が5勝、短縮馬が4勝を挙げているのに対し、レパードSと同距離(1800m)を走っていた馬が1勝にとどまるのは興味深い。同距離でも2着は6回あり、致命傷とはならないが、詰めが甘い傾向は気になるところだ。

【結論】

今年のレパードSにはフルゲート15頭に対して22頭がエントリー。この22頭のうち収得賞金1500万円の4頭は出走可能で、収得賞金900万円の18頭は抽選対象となっている。

好走率が非常に高いJDD組は、今年はロードシュトロームのみ。JDDは6着、4角通過順は2番手で、レパードSの好走条件をクリアしている。キャリアは10戦とやや多いものの、ここまでは許容範囲。収得賞金900万円で抽選対象だが、出走が叶えば軽視はできないだろう。

過去10年で勝ち馬4頭を出したユニコーンS組も、今年はクリーンスレイトのみ。前走は4番人気5着という結果で、ユニコーンS組の好走条件である「1~3番人気」か「3着に入る」は惜しくも満たせなかった。ただ、2走前に東京ダート1600mで1着という戦績は、2走前が芝だったアジアエクスプレスを除くユニコーンS組の勝ち馬3頭と同じで、こちらも抽選を通れば侮れない存在と言える。

収得賞金1500万円の4頭は、いずれも前走でダート1700mの2勝クラスを勝っての臨戦となる。この4頭のなかでは、ダートに転じて3連勝中で、レパードSで好成績のキャリア6戦に合致するルコルセールには特に注目してみたい。そのほか、前走レコード勝ちのホッコーハナミチ、7馬身差快勝のメイショウムラクモも相当な実力馬。4戦3勝のハンディーズピークもかなりの将来性を感じさせるが、キャリア4戦だと経験不足の懸念はある。

そのほか、前走1勝クラスで1着だった馬が12頭、前走2勝クラスで2~9着だった馬が4頭おり、いずれも収得賞金900万円で抽選対象となっているが、表6のデータを見る限り、どちらのパターンも複勝率が10%に満たず、苦戦の傾向が見られる。そのなかで名前を挙げるとすれば、キャリア8戦かつ距離短縮という好走条件に当てはまるノースザワールドとなるか。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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