JRA-VANコラム
実績馬揃いのG2・札幌記念を分析する
今週日曜に札幌競馬場で伝統のG2戦、札幌記念が行われる。今年は前走香港のクイーンエリザベス2世Cを勝利したラヴズオンリーユー、桜花賞を制したソダシのほか、ブラストワンピースやペルシアンナイトら実績ある牡馬も出走予定。古馬中距離戦線の実力馬対決、さらには世代対決も楽しみな一戦となった。この札幌記念について、2016年以降近5年のデータから馬券的に狙えそうな馬を探っていく。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
まず表1は札幌記念近5年の3着以内馬一覧。勝ちタイムは良馬場だった昨年が1分59秒4と最も速く、同じく良馬場の17・19年は2分0秒台前半で決着している。一方、稍重で行われた16年・18年は2分1秒以上掛かっており、雨がタイムに及ぼす影響が大きいレースといえる。今週は現時点で週末にかけて雨は降らない予報となっており、良馬場で行われそうだ。先週日曜の札幌12R、2勝クラスの藻岩山特別は前半1000m通過61秒7のスローペースで勝ちタイムが2分0秒5。前半のペースが流れれば、1分59秒台の決着となりそうだ。
上がりタイムに関しては良馬場の年は34~35秒台を使った馬が上位に入っている。稍重の年は消耗戦で4コーナー10番手以下の追い込み勢も上位に入っているが、良馬場の年は4コーナー10番手以内の馬で決着していた。
人気順では17年2着ナリタスターワン(12番人気)以外はすべて6番人気以内の馬だった。1番人気馬は【0.2.3.0】で勝ち星こそないものの、複勝率100%と安定。2番人気馬が2勝、3・5・6番人気馬が1勝ずつとなっている。
表2は脚質別成績と上がり順位別成績。脚質別成績では16年に逃げ切ったネオリアリズム以外は差し馬が最多の4勝をあげ、連対率・複勝率ともにトップ。昨年は1・2着馬が該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。
上がり順位別成績は、上がり最速だった馬が昨年のノームコアら近2年続けて勝利しており、連対率55.6%・複勝率88.9%と非常に高い。上がり2位の馬も連対率・複勝率50%と優秀。上がり2位以内の馬が3着以内馬15頭中10頭を占めている。
タフな洋芝で全体的に緩みのない流れになることが多く、中団で脚を溜めていた差し馬が上位の上がりで好走する傾向が目立つレースといえる。
表3は枠番別成績。黄色で強調した最内の1枠に入った馬が17年以降近4年続けて勝ち馬を出しており、勝率57.1%でダントツ。毎年3着以内に入っており、複勝率71.4%と非常に高い。3着以内に好走した5頭はいずれも差し・追い込み勢だった。コーナー4回の平坦コースで、内で脚を溜めるアドバンテージが非常に大きいのだろう。今年も1枠に入った馬はぜひチェックしていただきたい。なお、4枠からは好走馬が出ていない。
表4は前走レース別成績。安田記念組が18年サングレーザーら2勝をあげ、連対率50%と好相性だが、今年は出走予定馬がいない。函館記念組は17年サクラアンプルールら2勝をあげるも複勝率は16.7%と低く、近3年は好走馬が出ていない。
その他では目黒記念組から一昨年のブラストワンピースが勝利。前走クラス別成績では、前走国内G1だった馬が【2.4.4.14】で複勝率41.7%と高い。なお、前走海外G1組は【0.0.1.5】で18年モズカッチャンの3着1回だが、前走で5着以内だったのは一昨年のクルーガー(前走豪クイーンエリザベスS2着/札幌記念は8着)のみだった。
表5は種牡馬別成績。ハービンジャー産駒は一昨年のブラストワンピース、昨年のノームコアと2勝しており、複勝率50%と好相性。18年モズカッチャンも3着に入っており、出走馬がいる近3年は毎年好走馬が出ている。
ディープインパクト産駒は18年サングレーザーが勝利しており、複勝率44.4%と優秀だ。キングカメハメハ産駒は17年サクラアンプルール、ネオユニヴァース産駒は16年ネオリアリズムがそれぞれ勝利し、ともに複勝率25.0%。他ではステイゴールド~オルフェーヴルのラインはそれぞれ1回ずつ3着に入っている。
最後に表6は前走馬体重別成績。勝ち馬はすべて460キロ以上の馬で、特に黄色で強調した500キロ以上の大型馬の活躍が目立っている。500キロ以上の馬はのべ【2.3.2.10】で複勝率41.2%と高く、該当馬が出てくればチェックしておきたい。
なお、460キロ未満の馬からは連対馬が出ていない。
<結論>
今年の出走予定馬は表7のとおり。人気上位はラヴズオンリーユーとソダシの牝馬2頭だろう。
この2頭の比較ではラヴズオンリーユーを上位に評価したい。昨年は勝利がなかったものの、今年に入って京都記念、前走の香港クイーンエリザベス2世Cを勝利。前走ではグローリーヴェイズ、デアリングタクトを破り、2走前のドバイシーマクラシックもクロノジェネシスとクビ差の3着。現時点の実力、実績からしてもここでは抜けた存在だ。好相性のディープインパクト産駒でもあり、中心視したい。
ソダシは前走オークスで8着に敗退。古馬初対戦となる今回は斤量52キロと有利ではあるが、1800m以上の実績がない点は気にかかる。スピードが秀でたタイプだけに、最後苦しくなっておかしくない。
他ではユーキャンスマイルを推奨したい。前走がG1で馬体重510キロも買い材料。天皇賞春からの距離短縮ローテでは一昨年新潟記念を勝利している。長距離馬のイメージがあるが、2000m戦は【1.2.0.1】で馬券圏外の1回は天皇賞・秋の4着と狙い頃だ。
またハービンジャー産駒で、すでに札幌記念の実績があるブラストワンピースとペルシアンナイトは要注目。あとは1枠に入った馬は必ずチェックしておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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