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JRA-VANコラム

秋後半のG1へ向けた一戦・アルゼンチン共和国杯を分析する

2021年11月4日 16:00配信
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2015/11/8 東京11R アルゼンチン共和国杯 1着 15番 ゴールドアクター(単勝2.1倍)

1984年から1996年にかけては11月の中~下旬に行われ、ジャパンCに出走できない(出走しない)日本馬の受け皿となっていたアルゼンチン共和国杯。1997年からは11月上旬に繰り上がってジャパンCまで中2週となり、近年では2016年の本競走優勝馬・シュヴァルグランがジャパンCで3着に好走している。ほかに有馬記念や香港国際競走を目指す馬もおり、ハンデ戦とはいえ今後のG1に向けて注目の欠かせない一戦だ。そんなアルゼンチン共和国杯過去10年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析してみたい。

■表1 単勝オッズ別成績

過去10年の単勝オッズ別では優勝馬10頭中9頭が単勝7倍未満で、連対率もその7倍未満が優秀だ。複勝率は7倍台の馬も60.0%と高く、連対候補は単勝7倍未満、3着候補としては8倍未満あたりが目安になる。やや穴っぽいところでは10倍台前半が好走確率、回収率とも比較的高い。なお人気別では3番人気が【3.1.5.1】で複勝率90.0%と抜群だが、単勝オッズが2番人気または4番人気と差のない年も多く、人気順は締切直前まで見極める必要がある。

■表2 ハンデ別成績

ハンデ別では55~56キロの馬が3着以内馬30頭中19頭を占める。勝率が高い56キロ、2~3着止まりが多い55キロという違いはあるが、複勝率は56キロが29.6%、55キロが29.7%と互角だ。そのほかは54キロ以下【1.1.3.53】複勝率8.6%、56.5キロ以上【2.3.1.33】同15.4%。55~56キロ以外なら重ハンデ馬のほうが好走確率は高い。

■表3 年齢別成績

今年のアルゼンチン共和国杯は4~6歳馬によって争われるが、その中では4歳馬が【5.4.4.25】複勝率34.2%と他を大きくリードしている。特に4歳で3番人気以内に推された馬は【5.2.1.3】複勝率72.7%。馬券圏外に敗退した3頭は、前走で本競走との相性が悪い京都大賞典か札幌芝2600m戦(後述)に出走していた。

■表4 前走クラス別成績

※出走取消を挟む馬を除く

前走クラス別で好走馬が多いのはG2組だが、好走確率はいまひとつ。G1組と3勝クラス組の複勝率が32%以上と高く、G2組とオープン特別組は16%未満にとどまる。まずはG1組か3勝クラス組から軸馬を探したい。本年は前走G3出走馬と2勝クラス出走馬は不在だ。

■表5 前走G1からの3着以内好走馬

前走G1組の好走馬は表5の5頭。いずれもそのG1で6番人気以内かつ9着以内、そして本競走では4番人気以内の支持を受けていた。この組は前走9着以内なら【3.1.1.5】複勝率50.0%。前走10着馬は該当がなく、11着以下は【0.0.0.4】となる。また、5頭中4頭は直線が長いコースのG2以上・芝2400mで連対実績があり、残る1頭・アルバートは芝2400~2500m【2.0.0.2】。直線が短い中山を除けば2戦2勝だった。

■表6 前走条件戦からの3着以内好走馬

条件戦組の好走馬は、前走の東京芝2400m戦で3着以内に入っていた馬が9頭中7頭を占める。これに該当しない2011年のトレイルブレイザーは、同年春に本競走と同コースの目黒記念で0.1秒差の4着と好走。2016年のヴォルシェーブは左回り【3.2.0.0】(うち東京芝2400m【1.1.0.0】)の好相性だった。

■表7 前走G2からの3着以内好走馬

前走G2組はクラス別で最多の好走馬10頭を出しているが、表4でも触れたように好走確率は低め。その主因としては、京都大賞典組が【0.2.0.24】(同レース取消馬を除く)に終わっていることが挙げられる。このG2組は前走7着以内(10頭中9頭)で本競走4番人気以内(同)が目安。その中から京都大賞典以外の組を重視したい。

■表8 前走オープン特別からの3着以内好走馬

最後に表8は、前走オープン特別からの好走馬5頭である。こちらは丹頂S組【0.1.0.21】など、前走で北海道の芝2600m戦に出走していた馬が【0.1.0.25】とふるわない。オープン特別組で好走した5頭はすべて前走で芝2400~2500m以外に出走しており、前々走以前を含めても芝2400~2500mのオープン・重賞は未経験。条件戦では出走経験のあったスーパームーンとタイセイトレイルはそこで馬券圏内を外しておらず、未知の魅力がある馬や底を見せていない馬がいれば狙っていきたい。

【結論】

前走G1組と条件戦組の好走確率が高いアルゼンチン共和国杯。今年は各条件をすんなりクリアする馬が不在でやや難解だが、減点材料の少ないオーソリティを筆頭に挙げたい。昨年の本競走は古馬と初対戦の3歳の身で優勝。4歳になった今年も3歳馬不在なら年齢別では最有力で、特に上位人気必至という点は好材料になる(表3本文)。前走・天皇賞(春)は6番人気10着で表5の「9着以内」には及ばなかったものの、これに準ずる成績と考えていいだろう。

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前走条件戦組(表6)は東京芝2400m戦出走馬が有力だが、今年は六社Sの優勝馬・コトブキテティスが本競走を回避してエリザベス女王杯へ向かうことが発表された。他コース組では4歳・55キロ(表2)のアンティシペイトフライライクバード(ともに前走1番人気1着)が登録しており、この2頭では東京芝2400m【1.1.0.0】のアンティシペイトを上位とみたい。

その他、G2組(表7)では55キロ・サトノソルタス(オールカマー6着)や56キロ・マイネルウィルトス(札幌記念4着)が4番人気以内に食い込めれば、といったところ。オープン特別組(表8)は登録馬の大半が相性の悪い丹頂S組のため、前走ケフェウスS6着で4歳のレクセランス(芝2400~2500mは日本ダービー15着の1戦のみ)を穴候補としたい。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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