JRA-VANコラム
ハンデ戦で気になる「0.5キロ」についてデータを分析
今年の京都金杯では1着ザダル、2着ダイワキャグニーと、ハンデ57.5キロの馬がワンツーを決めた。あるいは、先日の小倉大賞典でも2着ランブリングアレーが55.5キロ、3着カデナが57.5キロのハンデを課されていた。こうした「0.5キロ」の端数があるハンデを背負った馬がいると、妙に気になる方は意外と多いのではないだろうか。そこで今回は、「0.5キロ」のハンデについてのデータを調べてみた。集計対象は、過去5年の平地ハンデ戦(2017年1月5日~21年12月28日)。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
過去5年の平地ハンデ戦で出走例がある「0.5キロ」のハンデは、55.5キロ、56.5キロ、57.5キロ、58.5キロの4つ。これらをすべて合算した成績を表1に示した。ただ、これだけでは良し悪しの判断が難しい。そこで、比較材料として「平地ハンデ戦で同程度の斤量(55キロ、56キロ、57キロ、58キロ、59キロ)」を合算した成績も掲載している。すると、5項目すべてで「0.5キロ」のハンデを課された馬がより高い数値を記録していることがわかった。特に複勝系の数値は差が大きく、複勝率で10.6ポイント、複勝回収率では17ポイントも高い。このデータを見てしまうと、「0.5キロ」のハンデを背負った馬がますます気になる存在になってくるかもしれない。
表2は牡牝別成績で、各斤量ごとの成績と合算した成績を掲載した。過去5年、牡馬(セン馬を含む)で設定があった「0.5キロ」は、56.5キロ、57.5キロ、58.5キロの3つ。出走例が少ない58.5キロを含め、牡馬の全体的な傾向としては重い「0.5キロ」のハンデほど好走率も高い傾向が見られる。一方、牝馬は55.5キロと56.5キロの2パターンで、特に後者の出走は5年で4例のみと非常に少ないものの、数値自体はどちらも優秀。合算して複勝率50.0%、複勝回収率137%の牝馬の「0.5キロ」は、狙ってみる価値が高そうだ。
表3は人気別成績。ひとケタ人気に関していえば、奇数の1、3、5、7番人気が優秀な成績を収めているのに対して、偶数の2、4、6、8番人気は振るわない。偶然かもしれないが、ずいぶん綺麗な傾向が出ている。また、10番人気以下の数値もよく、人気薄に甘んじた「0.5キロ」の激走には警戒しておきたい。
表4はクラス別成績。出走例が多いのはG3で、全217走中124走と半数以上を占める。そのG3では2着が多い点に注意したいが、複勝回収率103%は十分。全体的には下のクラスほど好走率が高い傾向が見られ、条件戦の2勝クラスと3勝クラスではいずれも勝率25%以上、複勝率50%以上を記録している。
表5は距離別成績を芝・ダート別で示したもの。芝は1400~1600mのみ勝率10%を下回り、複勝率も40%を下回るが、極端に落ち込んでいるわけではなく、全体としてはどの距離でも満遍なく走っている。ダートは全体に出走数が少なめ。そのなかでは1700~2000mが出走数最多かつ回収率も高く、ひとつの狙い目となりそうだ。
表6は、前走斤量との比較を表したもので、増減があった場合はさらに「0.5キロ増(減)」と「1.0キロ以上増(減)」に分けて示している。全217走のうち最多は「今回0.5キロ増」で、全体の4割強にあたる91走を占める。2、3着がやや多い傾向はあるが、複勝率46.2%と非常に安定した成績を記録している。次に多いのは59走の「今回1.0キロ以上増」で、勝率は5パターンのなかでもっとも高い。
一方、前走より斤量が減った場合はどうか。「今回1.0キロ以上減」は10走のみしかないものの、複勝率40.0%、複勝回収率219%なら狙ってみる価値はある。しかし、「今回0.5キロ減」は、好走率、回収率ともに低調で、少々注意が必要だ。そして「増減なし」は単勝回収率178%を記録。3勝の内訳が5番人気2勝、11番人気1勝と、穴馬1着の傾向が見られることを記しておきたい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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