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JRA-VANコラム

皐月賞馬、桜花賞馬の前走は?

2022年2月28日 16:00配信
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今週は弥生賞、チューリップ賞と、クラシックへ向けたトライアル競走が2鞍行われる。毎年この時期になると、いよいよ春のクラシックの足音が近づいてきた、という気分になるものだ。ただ近年の皐月賞馬や桜花賞馬は、2月までにその「前走」を終えていた馬もかなり多い。そこで今回は、皐月賞馬や桜花賞馬の前走について調べてみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV を利用した。

■表1 皐月賞馬の前走(1986~2002年)

表1はJRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降、2002年までの皐月賞馬の前走である。この期間の皐月賞馬17頭中14頭は、弥生賞、スプリングS、若葉Sのいずれかをその前走としていた。中でも1995年から2002年は8頭中7頭を弥生賞と若葉Sが占めている。

この17頭の中で目立つのは1990年、きさらぎ賞から中8週で皐月賞を制したハクタイセイだろう。今となっては中8週くらいどうということもないが、当時は本番までこれほど間隔をとるケースは珍しかった。1986年の日本ダービー馬・ダイナガリバーは共同通信杯4歳Sを制したあと、予定していたスプリングS(当時は皐月賞まで中2週)が雪の影響で1週順延になったためこれを回避。皐月賞2番人気10着の敗因は「調整に狂いが生じたため」と言われていた。現在であれば共同通信杯を制したなら、そのまま皐月賞というローテーションが組まれそうなものだ。

またこの頃はG1出走へ向けた賞金加算や出走権獲得を目指しステップレースを連戦する馬も少なからずおり、たとえば1994年のヤシマソブリン(後に日本ダービー3着、菊花賞2着)は共同通信杯4歳S4着、弥生賞8着、スプリングS5着(当時それぞれ中2週)というステップを踏んでいた。

■表2 皐月賞馬の前走(2003~2011年)

続いて表2は2003年から2011年の皐月賞馬の前走で、この期間は9頭中5頭をスプリングS組が占めている。1996年以前のスプリングSは皐月賞まで中2週で行われていたが、本番までの間隔が短すぎるという声が徐々に高まっていた。これを受け1997年以降は中3週に変更されたが、これがすぐには結果につながらなかったのは表1にある通りだ。

しかし2003年にネオユニヴァースがナリタブライアン以来9年ぶりにスプリングS組として皐月賞を制すると、ダイワメジャー、メイショウサムソン、アンライバルド、そして後の三冠馬オルフェーヴルと、1995年から2002年の分を取り戻すかのごとくスプリングS組が続々と皐月賞を制した。また、他の優勝馬は弥生賞か若葉Sから出ており、ハクタイセイのように本番までの間隔が開いた皐月賞馬は出現しなかった。

■表3 皐月賞馬の前走(2012~2021年)

そんな流れが一変したのは2012年。前年の札幌2歳SとラジオNIKKEI杯2歳Sで2着だったゴールドシップは、年明け初戦の共同通信杯で重賞初制覇。ここから中8週で挑んだ皐月賞も制したのだ。皐月賞まで中6週以上の好走馬としては2010年京成杯以来(中12週)のエイシンフラッシュ3着、2011年共同通信杯以来(中9週)のダノンバラード3着などの例もあったが、優勝した馬は前述のハクタイセイ以来22年ぶりだった。

続く2013年のロゴタイプ(スプリングS組)を挟み、2014年から2016年はイスラボニータ、ドゥラメンテ、ディーマジェスティと共同通信杯組が3連勝。そして2019年、ついに年明け初戦の皐月賞馬・サートゥルナーリアが誕生すると、翌2020年もホープフルS組のコントレイルが優勝した。昨年の3歳世代は前年のホープフルS優勝馬・ダノンザキッドが弥生賞(3着)を挟んで皐月賞15着だったが、勝ったエフフォーリアは共同通信杯以来の中8週だった。2012年以降の皐月賞馬10頭中7頭が中6週以上の間隔で出走しており、以前とは様相が大きく変わったことがよくわかるだろう。残る優勝馬3頭はスプリングS組と毎日杯組。表1で17頭中7頭を占めていた弥生賞組からはここ10年優勝馬が出ていない。

■表4 桜花賞の前走レース別成績(1986~2016年)

■表5 桜花賞馬の前走(2017~2021年)

最後に桜花賞についても見ておきたい。こちらはひたすらチューリップ賞組が強い時代が続き、1986年から2016年までの桜花賞馬31頭中19頭までがこの組(表4)。特に1990年のアグネスフローラ以降2016年のジュエラーまでは27頭中18頭がチューリップ賞組だった。

しかしこれほど強かったチューリップ賞組も、近5年は優勝馬が出現していない(表5)。2017年はフィリーズレビューから中3週のレーヌミノルが優勝したが、その後はシンザン記念以来のアーモンドアイ、年明け初戦だったグランアレグリア、エルフィンSから中8週のデアリングタクト、そして阪神JF以来のソダシと、皐月賞同様に本番までの間隔をゆったり取った馬が勝利を重ねている。

以上、皐月賞馬と桜花賞馬の前走をJRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降について振り返ってみたが、皐月賞、桜花賞ともに近年はレース間隔の開いた馬が多く優勝するようになっている。

これを見ると今週から「いよいよ」トライアル競走が……と盛り上がった気分が一気にしぼんでしまいそうだが、ここ5年のチューリップ賞組も桜花賞では【0.4.3.14】と7頭が馬券に絡んでいるように、決して無視できる存在ではない。また、皐月賞でも前走から中5週以下だった馬は過去10年で【3.8.6.107】と17頭が好走している。特に2017年以降の近5年は9番人気で優勝したアルアインなど、中5週以下で馬券に絡んだ7頭中6頭が7番人気以下だった。逆に前走から中6週以上だった皐月賞3着以内馬は8頭中7頭が6番人気以内(6頭は4番人気以内)。皐月賞で穴を狙うなら、これからの前哨戦が重要になる。今週のチューリップ賞、弥生賞を含め、今後のステップレースもしっかりと見ていきたいところだ。

ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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