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JRA-VANコラム

過去2年はいずれも波乱! 中京開催の京都金杯を分析

2022年12月29日 12:40配信
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2022/2/6 東京11R 東京新聞杯(G3) 1着 11番 イルーシヴパンサー (Photo by JRA)

関西圏における1年最初の重賞は京都金杯。ただし、京都競馬場の改修工事により、過去2年と同様に2023年も中京競馬場で開催される。そこで今回は、中京芝1600mで開催された過去2年の結果にもとづきレースを分析してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

■表1 人気別成績

表1は人気別成績。まず気づくのは上位人気の不振だろう。2番人気が過去2年とも3着以内に入っているものの、1番人気および3~6番人気は1頭も好走していない。その一方で、10番人気以下から3着以内に来た馬が3頭もいる。具体的には、21年にケイデンスコールが12人気1着、エントシャイデンが14番人気3着。22年にもダイワキャグニーが11番人気で2着に入った。残るもう1頭の好走馬も22年に7番人気1着のザダルで、中京開催の京都金杯では穴馬まで幅広くフォローする必要がありそうだ。

■表2 枠番別成績

表2は枠番別成績。過去2年はいずれもフルゲートの16頭で行なわれているが、好走した6頭の枠はすべてバラけている。3枠と8枠を除いていずれも複勝率25.0%で並んでおり、極端な枠の有利不利は見られない。

■表3 牡牝・年齢・所属別成績

表3は牡牝・年齢・所属別の成績をまとめたもの。まず「牡牝別」から確認すると、過去2年の好走馬はすべて牡馬(セン馬を含む)だった。とはいえ、牝馬の出走は3頭と少なく、このデータをもって不利とまでは断言しづらい。「年齢別」では5歳と6歳が主力を形成し、7歳以上は2着1回があるものの好走率を落とす。4歳の好走がなかったのは意外な感もあるが、そもそも出走が5頭と少ない影響はある。「所属別」では、6頭しか出走していない関東馬のうち、半分の3頭が連対を果たしている点に注目。ちなみに、通常の京都開催だった13年から20年の8年間、関東馬は【0.0.2.24】と苦戦しており、過去2年で傾向が一変した。関東馬にとっては、輸送距離が短く済む中京のほうが好走しやすい可能性はありそうだ。

■表4 ハンデ別(牡馬・セン馬のみ)

表4はハンデ別成績。なお、過去2年は牝馬の好走がないため、牡馬(セン馬を含む)のみを集計している。この通り、全体に牡馬のハンデ設定は上下でそれほど差がなく、最低で54キロ、最高で58キロ。そして、1~3着は56キロと57.5キロに集中している。55キロ以下や58キロの好走はなく、過去2年は軽すぎず重すぎずのハンデを課された牡馬が好走している。

■表5 前走着順別成績

表5は前走着順別成績。過去2年の好走馬6頭のうち、3頭は前走6~9着、2頭は前走10着以下と、巻き返して好走した馬の多さが目を引く。一方、前走1~5着だった馬は【0.1.0.8】と振るわず、21年2着のピースワンパラディ(前走1着)が唯一の好走例となっている。だからといって「前走6着以下を狙え!」というのは乱暴だろうから、前走着順にはこだわらずに予想するといいのではないか。

■表6 前走競馬場別成績

表6は前走競馬場別成績。出走例がある前走競馬場のみ掲載しているが、1~3着馬6頭のうち5頭は前走東京だったことは注目に値する。なお、通常の京都開催だった13~20年の8年間だと前走東京は【1.0.2.22】という成績で、むしろ不利なローテーションとさえ考えられる。左回りの中京開催となった過去2年、同じく左回りの前走東京出走馬の好走が急増したことは、覚えておいてもよさそうだ。

■表7 過去2年の京都金杯1~3着馬と芝左回りの実績

前項で確認したデータを受けて、過去2年の1~3着馬6頭が「左回りの芝」でどのような実績を収めていたのかを調べてみた。なお、距離は1600mを中心に、前後200m(1400~1800m)に限定した左回りの芝における実績を掲載している。レースの格に関する実績では、重賞1~3着もしくはリステッド競走1~2着は最低限欲しいところ。また、距離に関する実績では、21年は1600mで実績を収めていた馬が1~3着に入り、翌22年は1800mで実績を収めていた馬がワンツーを決めた点に注目したい。つまり、左回りの芝1600mなら1600m、1800mなら1800mで実績を持つ馬が、まとめて好走する傾向がある。なお、1400m実績が高いタイプの好走は22年3着のカイザーミノルだけで、この距離実績はそれほど生きてこないようだ。

【結論】

■表8 22年京都金杯の登録馬

以上の分析をもとに、今年の京都金杯を展望していきたい。なお、フルゲート16頭のところ21頭が登録し、最大5頭が除外となることにご注意いただきたい。

表8は、登録21頭のうち、左回りの芝1400~1800mで重賞1~3着もしくはリステッド競走1~2着の実績を持つ13頭を抜粋したもの。また、過去2年の京都金杯では、左回りの芝1600mか1800mのどちらで高い実績を持つ馬が一緒に好走する傾向が見られるため、それらをまとめて紹介しておきたい。

左回りの芝1600m実績が高いタイプとしては、イルーシヴパンサー、エントシャイデン、シュリ、ピースワンパラディ、プレサージュリフト、マテンロウオリオンあたりの名前が挙げられる。このうち、年齢では5歳のイルーシヴパンサー、前走競馬場では前走東京のピースワンパラディが好走率の高いデータに合致。また、この2頭に加えてプレサージュリフトは、中京開催の京都金杯で注目の関東馬でもある。

左回りの芝1800m実績が高いタイプは、ダイワキャグニーぐらいしか見当たらない。強いて言えば、1戦1勝のイルーシヴパンサーはこの距離も得意とする可能性を秘め、同様に1戦して重賞2着のヴィクティファルスの名前も挙げておきたい。1800mでも走れる馬が上位に来る馬場や展開を見込むのであれば、これらの馬を一緒に狙う手はあるだろう。

ライタープロフィール

出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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