JRA-VANコラム
日本ダービーへ向けて必見!? 弥生賞分析
今週は皐月賞トライアル・弥生賞が行われる。近年の皐月賞は共同通信杯やホープフルSから間隔をとった馬の勝利が目立ち、この弥生賞をステップにした馬の勝利は2010年のヴィクトワールピサまでさかのぼる。その一方で日本ダービーでは、昨年のドウデュース(本競走2着→皐月賞3着)など弥生賞出走馬が過去10年で5勝を挙げており、弥生賞はどちらかといえば日本ダービーとの繋がりが強くなっている。いずれにしても今後のG1へ向け注目の欠かせない弥生賞の過去10年の傾向を、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
過去10年、1~2番人気はともに複勝率70.0%と上々で、3~4番人気も計【2.2.4.12】同40.0%。この4番人気以内の馬が1~3着を独占した年が半数の5回ある。3連単46万円前後になった2013年(6→10→2番人気)や2019年(8→6→4番人気)のように荒れる年もあるが、まずは人気馬を中心に考え、荒れる余地ありとみれば穴狙いも視野に入れるようなスタンスがいいだろう。
表2は枠番別の成績。最大でも13頭立て(2014年)と落ち着いた頭数で行われており外枠でも距離損を喫しづらいためか、8枠が【5.1.1.13】、7枠が【1.5.1.13】でともに複勝率35.0%の好成績。ほかに4枠も【2.1.2.6】で複勝率45.5%をマークしている。対して1~3枠は計【1.0.5.24】の1連対で連対率3.3%。3着は5回と多いが複勝率でも20.0%にとどまるため、内枠を引いた馬は割り引きたい。
前走馬体重別の成績をみると、460~470キロ台が複勝率35.7%、480~490キロ台が同35.3%と優秀だ。このゾーンより軽い馬や重い馬の好走もあるが好走確率では明らかに劣勢のため、前走460~490キロ台の馬を主力にしたい。
表4は前走クラス別の成績で、中央G1組が【2.4.8.5】で複勝率73.7%と抜群。大きく離れてオープン特別組が複勝率27.3%で続き、G3組は同21.9%。1勝クラス組も連対率17.2%と悪くないが、好走した5頭はすべて前走の1勝クラスで勝利を挙げていた。今年は該当馬不在だ。
前走中央G1からの3着以内好走馬は表5の14頭。ホープフルSのG1昇格後は朝日杯FS組が2頭、ホープフルS組が7頭と、弥生賞と同コースのホープフルS組が大半を占めている。このG1組は特に条件を絞らなくても高複勝率を記録しているため全馬を狙ってもいいくらいだが、特に前走連対馬は【1.2.4.0】と凡走がなく注目は欠かせない。
表6は前走中央G3からの好走馬7頭で、うち6頭は前走で3着以内。まずはこれが目安になる。ただ、11年前の2012年には前走G3で4~5着だった馬が弥生賞の1~3着を独占しており、前走4~5着馬も念のため注意したい。
最後に前走オープン特別組だが、この組の好走馬3頭はすべて若駒Sから出ているため、表7には前走で若駒Sに出走していた6頭を掲載した。このうち好走した3頭に共通するのは若駒Sを道中3番手以下(1~2コーナーは4番手以下)で運んでいたことだ。着外に敗退した3頭は先頭か2番手で進んでおり、出走頭数が少ない中でもあまり前には行かない競馬をしていた馬が狙いになる。
【結論】
弥生賞は表4にあったように、前走G1組が非常に安定した結果を残している。今年はホープフルS2着のトップナイフ(前走494キロ)、同11着のグリューネグリーン(前走474キロ)が出走予定。どちらも前走馬体重(表3)はプラス材料になり、特にホープフルSで連対(表5本文)しているトップナイフが有力だ。ただ、同馬はキャリア7戦。過去10年の弥生賞でキャリア7戦以上の馬は【0.0.0.7】に終わっているため、この点を重視すればグリューネグリーンを上位に取る手もある。
その他では、前走・共同通信杯で4着だったタスティエーラ(前走486キロ)。前走G3組は3着以内が理想だが、4~5着でもチャンスはある(表6)。なおオープン特別(若駒S)組は、ワンダイレクトが前走446キロで通過順【2-2-3-2】、セッションが前走512キロで通過順【2-2-2-2】と、どちらも表3、7から強調しづらい印象だ。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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