JRA-VANコラム
波乱傾向が強いNHKマイルカップを分析!
表1はNHKマイルカップ過去10年の人気別成績。1番人気馬は2016年メジャーエンブレムら2勝で、連対率30.0%・複勝率40.0%と低め。2番人気馬が一昨年のシュネルマイスターら最多の3勝をあげ、連対率50.0%・複勝率60.0%はいずれもトップだ。
以下、3・4・6・9・10番人気馬が1勝ずつ。2・3着馬は11番人気以下がそれぞれ3頭ずつ激走するなど下位人気まで幅広く分布している。過去10年毎年フルゲート18頭で行われているが、昨年は3着に18番人気カワキタレブリーが激走。当時の4着が昨秋のマイルCSを勝利したセリフォスで、3歳春時点のマイル路線は力関係が流動的であり、道中のペースや展開によって人気薄でも好走しやすい状況にあるといえる。
配当的にも3連単で10万円以上の配当が過半数の7回、そのうち10番人気マイネルホウオウが勝利した13年と昨年は100万円以上の大波乱となっており、波乱傾向が非常に強い一戦といえる。
表2は前走距離別成績。黄色で強調した前走2000m組が一昨年のシュネルマイスターら3勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。連対率・複勝率は距離が短くなるにつれて下降傾向にある。出走数の半数以上を占める前走1600m組は昨年のダノンスコーピオンら過半数の6勝も、連対率・複勝率は前走2000m組の半分程度に止まっている。
表3は前走着順別成績。出走数最多の前走1着馬だが、昨年のダノンスコーピオンら2勝で、複勝率は11.1%と低い。前走勝利してNHKマイルカップで上位3番人気以内だった馬は【1.0.0.9】で、14年ミッキーアイルの1勝のみに終わっている。前走上位着順では、前走2着、前走4着馬の複勝率が高い。前走6~9着、前走10着以下の複勝率は前走1着馬とほぼ変わらない。ここがNHKマイルカップを予想する上で難解であり、また面白い点といえる。
表4は前走人気別成績。ここははっきりした傾向が出ており、黄色で強調した前走1番人気馬が20年ラウダシオンら半数の5勝をあげ、連対率は36.0%、複勝率は44.0%と非常に高い。この組の3着以内馬11頭中10頭は前走4着以内に入っていた。数字の偏りではあるが、前走3番人気馬だけ22頭すべて4着以下に敗れていた。
表5は前走から同騎手が継続騎乗か乗り替わりかの成績比較。継続騎乗の馬が19年アドマイヤマーズら8勝をあげており、連対率では乗り替わり組の2倍となっている。ただ、注目は複勝率と複勝回収率。継続騎乗組の3着以内馬18頭中15頭は上位7番人気以内に支持されていた。対して、乗り替わり組の3着以内馬12頭中7頭は9番人気以下で激走しており、複勝回収率は100%を大きく上回っている。連対率では劣る乗り替わり組だが、3着6回で複勝率では差を詰めている。人気薄の乗り替わり馬を狙うのも馬券作戦としては面白いのではないだろうか。
最後に表6は今回の2回東京開催での芝1600m戦における種牡馬別成績。施行数は5レースと数は少ないが、複数の好走馬を出しているのはロードカナロア、イスラボニータ、スクリーンヒーローの各産駒。この中でロードカナロア産駒の複勝率は60.0%と最も高い。ロードカナロア自身も安田記念を優勝しており、表に出てくる種牡馬の多くが東京のG1で優勝もしくは上位に入っていた。
<結論>
今年のNHKマイルカップの注目馬は表7のとおり。
混戦模様で人気も割れそうだが、今回はダノンタッチダウンとカルロヴェローチェの2頭を推奨したい。ダノンタッチダウンは前走皐月賞で最下位の18着に敗れているが、休み明けで初めての2000m、重馬場で先行策とすべてが合わなかった。本来は末脚を生かすタイプで、昨年末の朝日杯FSでは2着。昨年優勝のダノンスコーピオンと同じ安田隆行厩舎で、同じロードカナロア産駒、同じ川田騎手が騎乗予定で今回が勝負駆けだろう。前走大敗で人気落ちが見込める今回はアタマから狙っていきたい。
カルロヴェローチェは前走ファルコンSで2着と惜敗。その前走が1番人気だった点が表4から強調できる。2走前の白梅賞では完勝しており、マイル適性は高い。今回は乗り替わり(レーン騎手が騎乗予定)となるが、先行押し切りも十分に見込める。
他では東京マイル適性が高いモリアーナ、ロードカナロア産駒のウンブライルも上位候補として挙げておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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