JRA-VANコラム
ヴィクトリアマイルは4角位置と東京実績に注目
今週は日曜日に東京競馬場でヴィクトリアマイルが行われる。いつものように過去10年のデータを分析してレースの傾向を探り、今年のメンバーから有力馬を絞っていく。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は過去10年(以下、同様)のヴィクトリアマイルの脚質別成績。中団が6勝、2着7回、3着5回で連対率と複勝率は最も成績が良い。単勝回収率95%、複勝回収率108%と配当面でも妙味がある。
回収率では、2014年ヴィルシーナ(11番人気1着)、15年ミナレット(18番人気3着)の激走があり、逃げが最も高い。惜しくも好走には至らなかったが、20年はトロワゼトワルが12番人気4着、22年はローザノワールが18番人気4着と善戦しており、伏兵の逃げ粘りを常に警戒したい一戦だ。
一方、先行や後方の成績は目立たない。先行の勝率は中団よりも高く、連対率や複勝率もそれほど低いわけではないが、回収率は平凡。後方は好走率がかなり低く、厳しい数字が出ている。こうした結果からヴィクトリアマイルは逃げ馬と中団からの差し馬が狙い目と言える。ただ、次のデータからは、少し違った印象が見えてくる。
表2はヴィクトリアマイルの4角(4コーナー)位置成績。1/3頭、1/2頭、2/3頭というのは出走頭数に対する割合を意味している。例えば、フルゲート18頭立てにおける1/3頭以内は6番手以内、同1/2頭以内は9番手以内、2/3頭以内は12番手以内ということだ。そこで4角1/2番手以内の成績を見ると【8.4.8.75】、1着馬と3着馬が8頭ずつで好走馬は20頭だった。つまりヴィクトリアマイルでは、4角で真ん中よりも前目にいる方が良く、勝ちやすいことがわかる。回収率の面でも成績は優秀だった。
一方、1/2頭外の成績は【2.6.2.72】で2着馬は6頭いたものの、勝率・連対率・複勝率すべてにおいて1/2頭以内に負けている。回収率も平凡だ。表1は「中団」が優秀というデータを示していたが、真ん中よりも後ろ寄りになってしまうと勝ちづらいと言えるだろう。馬群の真ん中あたりから末脚を伸ばすのが良さそうだと感じる。
表3はヴィクトリアマイルにおいて4角1/2頭以内で好走した馬。該当馬をすべて挙げ、備考には注目したい実績を記載した。20頭が該当するだけあってメンバーはバラエティに富んでいる。ヴィルシーナやソダシ、レシステンシアといった逃げ~先行のイメージが強い実力馬のほか、そうでない馬もかなり含まれている印象だ。15年ストレイトガールは4角5番手、20年アーモンドアイは4角4番手から勝利しており、普段は末脚を生かす馬でも本競走の4角位置は意外と前目だったというケースも出てくる。決め手に秀でている馬が、無理なく馬群の中団よりも前目につけることができると、大きなチャンスになりやすい。
決め手をはかる目安としては、東京芝の重賞実績を調べるのがいいだろう。過去のヴィクトリアマイルで好走実績がある馬が最も良く、勝ち馬だけでなく負けていても僅差であれば評価したい。15年2着ケイアイエレガントは、前年のヴィクトリアマイルで6着ながら勝ち馬と0.3秒差だった。あとは天皇賞(秋)やNHKマイルCなど、他のG1実績は高評価になる。アルテミスS、クイーンCといった2歳・3歳牝馬限定の重賞実績でもプラス材料だ。
過去に東京の重賞で好走実績がなかった5頭の内、ミナレットを除く4頭、アドマイヤリード、ジュールポレール(17年)、レッドアヴァンセ、サウンドキアラは前走阪神牝馬Sで3着以内に入っていた。
表4はヴィクトリアマイルにおいて4角1/2頭外で好走した馬。該当馬10頭中、ストレイトガール(14年)、プリモシーン、ランブリングアレーを除く7頭は過去に東京芝重賞で勝った実績があった。結局、こちらも重要となるポイントは表3と同じだった。そして実際好走するには相当な瞬発力が必要となる。18年リスグラシューは上がり3ハロン32秒9、19年プリモシーンは同33秒0、21年グランアレグリアは同32秒6をマークして好走した。基本的には上がり3ハロン33秒台前半、場合によっては32秒台の脚が求められることになるだろう。
【結論】
それでは今年のヴィクトリアマイルを占うことにする。出走予定馬は表5の通り。
今年のメンバーは、東京芝の重賞で実績を残している馬が多く、全体的にレベルは高い印象。データ的には前走阪神牝馬S好走馬も軽視はできないが、今回は東京重賞実績馬を優先的に狙ってみたい。
なかでも注目はソダシ。昨年のヴィクトリアマイルでは4角4番手から抜け出して勝利しており、今回は連覇がかかる一戦。本競走はリピーターが強く、過去10年ではヴィルシーナとストレイトガールが連覇を飾り、ノームコアとジュールポレールが2回好走を果たしている。連覇濃厚とまでは言わないが、今年も3着以内に入る確率は高いのではないだろうか。
1番人気が予想されるスターズオンアースは位置取りが鍵。前走大阪杯は4角9番手から凄い脚を繰り出して2着と好走したが、秋華賞に続いてスタートがあまり良くなかった。今回も中団より後ろのポジションになると、さらに凄い末脚を要求されてしまうので、できるだけ前目で競馬をしたいところ。
スタニングローズは前走中山記念が4角3番手で5着。久々のマイル戦がどうかだが、基本的には前目で競馬をしたいタイプ。強敵は多いが本馬も地力があるし、配当妙味も考慮して注目してみたい。
あとは昨年の安田記念を制したソングライン、今年の東京新聞杯2着のナミュールが有力。イズジョーノキセキとメイケイエールは昨年東京芝のG2を勝っているが、前者は前走阪神牝馬Sが負けすぎ、後者は今回の距離だと折り合いが課題だ。
ライタープロフィール
小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
関連記事
注意事項
結果・成績・オッズなどのデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
本サイトのページ上に掲載されている情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性を保証するものではありません。
当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社NTTドコモおよび情報提供者は一切の責任を負いかねます。