JRA-VANコラム
混戦ムード漂う安田記念を分析する!
5週連続G1開催中の東京競馬場。今週はそのラストとなる安田記念が行われる。春のマイル王決定戦で昨年はソングラインが優勝している。今年は3歳から古馬の各世代に加えて、前走1200m~2000mとさまざまな路線から参戦予定で、混戦ムードが漂っている。今回は2013年以降過去10年の安田記念のレース傾向から今年の出走馬で好走が期待できるタイプを探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は安田記念過去10年の人気別成績。1番人気馬は2013~15年にかけて3連勝したが、16年以降は優勝馬が出ていない。それでも連対率は60.0%、複勝率も80.0%と高い。対して、2番人気馬は勝ち星がなく、複勝率も20.0%と低い。3番人気馬は複勝率50.0%と1番人気馬に次いで高く、4番人気馬は昨年のソングラインら2勝をあげている。以下、7~9番人気馬で4勝と伏兵馬の一発がある。なかでも8番人気馬は一昨年のダノンキングリーら2勝をあげており、複勝率40.0%と健闘している。
2・3着馬は下位人気まで幅広く分布しており、10番人気以下の激走も2着1回、3着3回。19年・20年を除いて8番人気以下の人気薄が毎年1頭は3着以内に入っている。配当面では3連単で40万円以上の配当こそないものの、10万円以上は半数の5回にのぼる。
表2は枠番別成績。1~4枠を内、5~8枠を外として分けた場合、内2勝、外8勝と外の勝ち星が圧倒している。複勝率でも内の最高が1枠の17.6%であるのに対して、外は7枠の30.4%と高い。また注目すべきは複勝回収値。内で3着以内に入った10頭はすべて上位5番人気以内。対して、外から3着以内に入った20頭中半数以上の11頭は6番人気以下だった。人気薄の馬を狙う場合でも5枠から外の馬を狙っていきたい。
表3は年齢別成績。4歳馬が昨年のソングラインら半数の5勝をあげており、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。4歳馬の中でキャリア10戦以内の馬は【5.2.2.10】で複勝率47.4%と非常に高く、11戦以上の馬は【0.0.0.16】と不振傾向にある。
5歳馬は一昨年のダノンキングリーら3勝をあげ、連対率は4歳馬に次いで高い。6歳馬は17年サトノアラジンら2勝。勝ち馬はすべて4~6歳馬から出ている。3歳馬は一昨年シュネルマイスターの3着1回、7歳以上は2・3着1回ずつとなっている。
表4は出走馬の所属別成績と東西における牝馬の成績。東西別の比較で勝ち星では5勝ずつをあげているが、連対率・複勝率で美浦所属の関東馬が優勢となっている。関東馬の中でも牝馬は【2.4.1.5】で昨年のソングラインら2勝をあげ、複勝率は58.3%と非常に高い。4着以下の5回中4回は4・5着だったもので、つまり12回中11回が5着以内と安定して上位に入っている。この理由としては、同じ東京芝1600mのヴィクトリアMが3週前に行われることによる「慣れ」のメリットが大きいのではないか、と推測される。アエロリットはヴィクトリアMで4着以下に凡走していたが、続く安田記念では18年・19年と続けて2着に好走している。関東の牝馬は今年も積極的に狙っていきたい。
では、サンプル数が少ないとはいえ、関西の牝馬がすべて4着以下となった理由を推測すると、ヴィクトリアMから中2週で再度の関東遠征が響いているのではないか。こちらは「慣れ」よりも体力面でのデメリットが大きいのかもしれない。
表5は前走国内レース組の前走クラス別成績。前走G1組が13年ロードカナロアら4勝をあげ、複勝率は27.3%と高く、単勝回収値・複勝回収値ともに100%を超えている。特に近5年は3着以内馬15頭中10頭が前走G1組と集中している。ただし、前走大阪杯組は17年のG1昇格後【0.0.1.10】と結果が出ていない。
前走G2組・G3組は各2勝。オープン特別組は18年モズアスコットが勝利している。
最後に表6は前走人気別成績。前走国内組の優勝馬9頭はいずれも前走で上位4番人気以内に支持されていた。なかでも前走2番人気以内だった馬が7勝をあげ、複勝率も優秀だ。前走国内組は前走4番人気以内だった馬から狙いたい。
<結論>
今年の注目馬は表7のとおり。
世代も幅広く、臨戦過程もさまざまで混戦ムードが漂っている今年の安田記念。
表4のデータから推奨したいのが昨年の優勝馬ソングライン。前走ヴィクトリアMも勝利しており、東京マイルの適性は非常に高い。前走からの上積みも見込め、安田記念連覇の可能性は十分にある。
もう一頭の推奨馬はガイアフォース。率でトップの4歳馬でキャリア10戦以内にも当てはまる。前走マイラーズCで2着(4番人気)だったが、自身初の1600m戦で1着シュネルマイスターとクビ差の接戦をするあたり、マイル適性は高い。高速決着に強いタイプで、父キタサンブラック、母父クロフネも東京向き。一発があっておかしくない。
他には近2年の安田記念で好走しているシュネルマイスター、海外帰りでも力出せれば強いセリフォスも当然上位評価としておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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