JRA-VANコラム
スプリンターズSの前哨戦となるセントウルSを展望する
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セントウルSといえばサマースプリントシリーズ最終戦だが、今年はすでに優勝馬が確定済み。とはいえ、スプリンターズSの前哨戦としての重要性に変わりはない。4年ぶりに本来の阪神芝1200mで開催される一戦を、過去10年のデータから分析する。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
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過去10年の1着馬は3~5歳から出ており、6歳以上の勝利はない。連対率や複勝率に関しても、5歳以下と6歳以上で大きな差がついている。また、所属の東西でも成績差が見られ、1~3着馬の大半を関西馬が占める。
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前走からの出走間隔もチェックしたい。中12週以内と中13週以上に分けたとき、勝率~複勝回収率の5項目すべてで中13週以上が優位に立っている。言い換えると、夏競馬には参戦しなかった馬がセントウルSでは結果を残しやすいようだ。
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前走距離別成績(前走の対象は芝のみ)も面白い傾向が出ている。最多出走は同距離の前走芝1200mだが、成績としてはあまり見るべきところはない。200m短縮の前走芝1400mもイマイチ。ところが、400m短縮の前走芝1600mは優秀な数字がズラリと並ぶ。また、200m延長の前走芝1000mも好走率がなかなか高く、これも侮れない存在となりそうだ。
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前走クラス別成績で明らかなのは、前走G1やG2から臨んだ馬が高い好走率を残していること。終わってみれば格がモノをいった、というパターンは想定しておきたい。出走例が圧倒的に多いのは前走G3。この場合、前走のG3で1~3着に入っていれば【3.5.1.9】とセントウルSでも有望だ。そして、前走が重賞以外の場合、過去10年で3着2回があるだけで、苦戦の傾向が見られる。
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近3年は中京開催となったが、直線に急坂があるレイアウトは阪神と共通する。そこで、中山を含めた「直線急坂の芝1200m実績」を調べてみた。上表の通り、直線急坂の芝1200mで連対率60%以上だと勝率20.8%、複勝率41.7%の好成績。対して、連対率50%未満だと勝率2.4%、複勝率12.0%と大差がついている。また、この条件に未出走だった馬の回収率が思いのほか高く、激走するケースに注意したい。ただし、急坂の有無を問わず芝1200mそのものに未出走だと【0.1.0.8】と苦戦の傾向が否めない。
【結論】
急坂の芝1200mで3戦3勝のビッグシーザー
基本的には「5歳以下・関西馬」を重視したいセントウルS。今年は登録馬16頭中11頭が該当している。
その11頭のうち、急坂(阪神・中京・中山)の芝1200mで連対率60%以上を記録しているのは、ジャングロ、ビッグシーザー、ピクシーナイトの3頭。特にビッグシーザーは3戦3勝、ジャングロも2戦2勝と、急坂の芝1200mで無敗を誇る。また、ビッグシーザーは「前走G3で1~3着」「中13週以上」、ピクシーナイトは「前走G2」「中13週以上」、ジャングロも「前走芝1000m」と、ほかにも好走率の高いデータに合致。3頭とも有望な存在となりそうだ。
前走G1出走のアグリ、ドルチェモアの2頭は侮れない実力馬で、ともに「中13週以上」にも該当する。ただし、アグリは芝1200m(うち急坂1回)で3走してすべて4着以下。ドルチェモアは、好成績の前走芝1600mではあるのだが、過去10年で【0.1.0.8】の芝1200m未出走馬である。同様にホウオウアマゾンも芝1200m未出走で、アグリを含めた3頭は芝1200mに対応できるかどうかだろう。最後にもう1頭、スマートクラージュは年齢や出走間隔が割引ながら、前走G3で3着という点から押さえてはおきたい。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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