JRA-VANコラム
菊花賞トライアル・セントライト記念分析
今週は中山競馬場でセントライト記念が行われる。ここ2年の菊花賞馬・タイトルホルダー(本競走1番人気13着)とアスクビクターモア(同1番人気2着)はこのレースをステップに3歳クラシック最後の一冠を制しており、今年も注目の欠かせない一戦だ。そんなセントライト記念の過去の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。
過去10年の出走馬についてレース間隔と所属別の成績を調べたところ、3着以内の好走馬の多くは中9週以上の休養明けだった馬で、特に関西馬が複勝率33.3%と安定した結果を残していた。一方、中8週以下の好走馬はすべて関東馬から出ており、関西馬は18頭すべて馬券圏外(15頭は6着以下)に敗退している。
休養明けの好走馬の中心を占めるのは前走日本ダービー出走馬で、【5.6.4.22】複勝率40.5%の好成績をマークしている。ほかにラジオNIKKEI賞組が4頭好走しており、前走重賞組でこの2レース以外に出走していた馬は2頭(ホープフルS、青葉賞)しかいない。前走条件戦からの好走馬も8頭いるが好走確率では劣勢だ。
前走日本ダービー組について同レースでの着順とタイム差別の成績を調べると、やはりダービーで上位に入っていた馬の好走確率が高かった。ただ、ダービーで10着以下に敗れた馬や勝ち馬に0.9秒以上の差をつけられていた馬も複勝率は40%台とかなり高い。ダービー7~9着馬や、勝ち馬から0.5~0.8秒差だった馬の好走はなかった。
前走が日本ダービー以外だった馬について前走距離別の成績(芝レース出走馬のみ)を調べると、3着以内の好走馬15頭中14頭は芝1800~2000mのレースに出走しており、残る1頭は10年前(2013年3着アドマイヤスピカ、前走青葉賞7着)だった。前走で北海道の2600m戦や新潟の2200m戦あたりに出走していた馬は苦しい。
最後に表5は前走ラジオNIKKEI賞出走馬の前走着順別成績で、過去10年では好走馬がやや少ないため2000年以降を対象とした(旧ラジオたんぱ賞を含む)。好走馬9頭のうち7頭は同レース連対馬で、特に1着馬が好成績。残る2頭は2017年3着のサトノクロニクル(前走6着)と21年1着のアサマノイタズラ(前走12着)で、どちらもG2連対の実績を持っていた。
【結論】
前走日本ダービー組3頭が有力
セントライト記念は前走日本ダービー出走馬が好成績を残しており、今年はソールオリエンス(関東馬・日本ダービー2着)、シャザーン(関西馬・日本ダービー9着)、そしてグリューネグリーン(関東馬・日本ダービー15着)が出走を予定している。中でも最有力候補は勝ったタスティエーラにクビ差の2着だったソールオリエンスだが(表3)、ダービー大敗馬は単複の回収率が高いためグリューネグリーンも軽視禁物(同)。またこの2頭が関東馬であるのに対し、シャザーンは休養明けの関西馬という点を評価できる一方、ダービー9着という着順が割引材料になる(表1、3)。どのデータに注目するかにもよるが、いずれにしてもこの3頭がデータからは有力だ。 その他、ラジオNIKKEI賞組なら同レース2着のシルトホルン(表5)。条件戦組からは中6週の関東馬で前走芝2000m戦のフレーヴァードの名前も挙げておきたい(表1、4)。
【追記】フレーヴァードはセントライト記念を回避し、当日の2勝クラスに出走することが決まった。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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