JRA-VANコラム
【キーンランドC × 過去データ分析】牝馬と前走コースに注目!
今週は日曜に新潟競馬場で新潟2歳S、札幌競馬場でキーンランドCと平地重賞2鞍が組まれている。今回は札幌芝1200mで行われるキーンランドCをピックアップ。昨年はナムラクレアが勝利しており、2014年以降・過去10年で過半数の7勝をあげている牝馬が今年も好走するのか、注目ポイントだ。それでは過去10年のデータから今年馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
表1は馬番別成績。14番に入った馬が昨年のナムラクレアら最多の3勝をあげており、複勝率も44.4%でトップだ。これら外の11~14番で過半数の7勝と目立っており、勝ち馬はすべて7番から外の馬だった。
黄色で強調した7・8番、11~16番はいずれも複勝率20%以上。その中間の9・10番は勝ち星がなく、複勝率も10.0%と低い。また、内の1~6番は勝ち星がなく、4番を除いてすべて複勝率10.0%以下。なかでも1~3番からは連対馬も出ていない。平坦芝1200m重賞で内有利がイメージされるが、決してそんなことはなく、「勝ち馬は7番より外から出ている」ことは覚えておきたい。
表2は性別年齢別成績。牡馬・セン馬より出走数の少ない牝馬が昨年のナムラクレアら過半数の7勝をあげており、連対率・複勝率でも牡馬・セン馬を大きく上回っている。牝馬の年齢別では4歳の複勝率が42.1%と一際高く、続いて5歳→6歳→3歳の順となっている。4~6歳牝馬はいずれも複勝回収率が100%を超えており、期待値が高い。なお、3歳牝馬で勝利した16年ブランボヌール、21年レイハリアはともに斤量51キロだった。
牡馬・セン馬の複勝率では4歳の26.7%がトップ。次いで3歳の21.4%となるが、6歳は17頭すべて4着以下と不振傾向にある。
表3は前走コース別成績。出走数が多いのは函館芝1200m組と札幌芝1200m組だ。
それぞれを前走着順別で見ていくと、函館芝1200m組の好走馬はいずれも前走で3着以内に入っていた。対して、札幌芝1200m組は前走1着馬の複勝率こそ36.4%と高いものの、前走2~5着馬はいずれも今回4着以下と不振。札幌芝1200m組の勝ち馬2頭はともに前走UHB賞で7着に敗れていた。
全体として、前走で好走した馬の比較においては函館組が複勝率で大きく上回っている。
その他では中京芝1200m組が連対率30.0%・複勝率50.0%と優秀で、複勝回収率でも100%を大きく超えている。
表4は前走レース条件別成績。前走3歳以上のレースだった馬が大半を占めるが、複勝率17.6%。この中では前走で上がり2位以内だった馬の成績が良い。
前走3歳限定レースだった馬からは連対馬が3頭出ているが、そのなかで21年1着レイハリア、22年2着ウインマーベルはともに前走中京開催の葵Sで1着だった。
前走4歳以上のレースだった馬は昨年のナムラクレアが勝利し、複勝率35.7%。この組の3着以内馬5頭中4頭は前走G1組で、「前走4歳以上G1」という馬の複勝率は50.0%と非常に高い。
【結論】
洋芝巧者モリノドリーム、安定ナムラクレアの牝馬2騎に注目!
今年のキーンランドCの注目馬は表5のとおり。
(表5は8/21時点)
人気を集めそうなのは前走高松宮記念で僅差2着だったナムラクレア。昨年のキーンランドCの勝ち馬であり、芝1200m戦では非常に安定している。斤量も昨年勝利時と同じ55キロ。5歳牝馬、前走中京1200m、前走4歳以上のG1と条件も良く、軸としての信頼度は高い。
もう一頭、これまでのデータからモリノドリームを推奨したい。前走函館芝1200mの青函Sを勝利し、過去5勝すべてを函館と札幌の芝1200m戦であげている洋芝巧者。5歳牝馬、前走函館芝1200m戦1着、前走3歳以上のレースで上がり2位タイと買い材料が揃っており、注目したい一頭だ。
牡馬では前走函館スプリントSを勝利して本格化しているサトノレーヴ、今回は相性が良い坂井瑠星騎手に手が戻る予定のビッグシーザーを相手上位にあげておきたい。
ライタープロフィール
ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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