JRA-VANコラム
【京成杯AH×過去データ分析】古馬は前走のタイム差が鍵!
夏競馬が終わり、今週末から秋競馬が開幕する。重賞は土日で計3レース。その中から日曜中山の京成杯AHを分析する。なお、通常は過去10年のデータを対象としているが、今回は新潟開催の2014年を集計から除外し、中山開催の過去9年分(15~23年)を対象とする。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
まずは3歳馬に限ったデータを最初に見ておきたい。着目したのは前走着順で、過去9年の京成杯AHで好走した3歳馬4頭のうち3頭は前走でも1~3着に入っていた。一方、前走4着以下だったのは16年1着のロードクエストだけ。同馬は前走が2400mの日本ダービーで、適距離に戻って巻き返したかたちである。また、京成杯AHで好走した3歳馬4頭は、いずれも芝1600m重賞をすでに勝っていたことも記しておきたい。
表2~5では、4歳以上馬に関するデータを確認する。前走クラス別成績の通り、古馬の主力となるのは前走G3出走馬。具体的には、前走中京記念組や前走関屋記念組の出走が多い。どちらもサマーマイルシリーズに組み込まれており、転戦する馬が多いのも自然だろう。そのほか、前走G1組の複勝率37.5%や、前走3勝クラス組の勝率28.6%も優秀な数値だが、今年は該当する4歳以上馬の登録がない。
「前走中京記念の4歳以上馬」は【3.1.2.9】と好相性。ただし、中京記念で1着馬からタイム差が0秒6以上離されると【0.0.0.3】、4角通過順が10番手以降だった馬も【0.0.0.3】と好走例がない。これらを除き、前走中京記念で敗れたものの、4角通過1~9番手かつタイム差0秒5以内だった古馬に限れば【3.1.2.3】という優秀な成績が残っている。
「前走関屋記念の4歳以上馬」は【1.3.1.34】という成績で、絞り込みが欠かせない。ここでもタイム差は参考になり、関屋記念で負けても0秒2以内だった古馬は【1.2.1.6】と巻き返しを期待できる。しかし、タイム差が0秒3以上に広がると【0.1.0.26】と厳しくなる。前走人気については、関屋記念で1~4番人気だった古馬はすべて凡走し、5~9番人気に好走例が集中していることを押さえておきたい。
最後に、「前走で中京記念・関屋記念以外のG3に出走した古馬」に関するデータを見ておきたい。この場合も前走のタイム差は参考になり、0秒9以内だった古馬は【1.2.2.7】の好成績。また、前走の上がり3F順位が1~4位だった古馬も【1.1.2.2】と高い確率で好走を果たしている。
【結論】
2歳女王アスコリピチェーノはデータ面も文句なし
3歳馬は前走1~3着であることと、芝1600m重賞で1着の実績を持つことが重要だった。今年登録の3歳馬5頭で両方の条件を満たすのは、阪神JF1着かつ前走NHKマイルC2着のアスコリピチェーノのみである。
4歳以上馬は3パターンに分けて見ていこう。前走中京記念組は、そこで「タイム差0秒5以内」と「4角1~9番手」が基準。しかし、登録馬2頭はいずれも前走で1秒以上敗退。好相性の前走中京記念組は、残念ながら今回のデータ分析からは強調しづらい。
前走関屋記念組は、そこで「タイム差0秒2以内」と「5~9番人気」が基準。これを満たすのが、関屋記念が8番人気で0秒2差(2着)だったディオである。
その他の前走G3出走組は、そこで「タイム差0秒9以内」と「上がり1~4位」が基準となるが、これを満たす馬の登録はない。前走リステッドまで目を広げると、カシオペアSで0秒2差(5着)かつ上がり4位を記録していたのがエアファンディタである。
ライタープロフィール
出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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