JRA-VANコラム
【セントライト記念 × 過去データ分析】今年は前走日本ダービー出走馬の争い!
今週の中央競馬は3日間開催。日曜には中京でローズS、そして月曜(祝)には中山でセントライト記念と、3歳G1へ向けたトライアル競走が組まれている。ローズSは中京での代替開催となるため、今回は例年通り中山で行われるセントライト記念を取り上げたい。菊花賞へ向けはずみをつけるのはどの馬か、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析してみよう。
過去10年の人気別では、1番人気が【3.5.0.2】で複勝率80.0%、2番人気が【2.3.2.3】で同70.0%。そして3番人気は1連対ながら【1.0.4.5】で複勝率は50.0%と高く、上位人気が安定した結果を残している。過去10年のうち4回はこの1~3番人気が1~3着を独占しており、一昨年は3→1→2番人気、昨年は2→1→3番人気の決着だった。
前走クラス別(中央)の成績は、G1組【5.7.6.26】とG3組【3.1.1.12】で好走馬30頭中23頭を占め、好走確率も高い。条件戦組の好走はほぼ人気馬ばかりで、セントライト記念4番人気以下かつ前走がJRA重賞以外だった馬は【0.0.1.71】と苦戦している。ちなみに本競走の前日に行われるローズSでは、4番人気以下の好走馬17頭中14頭が前走2勝クラス以下だった。同じ3歳G2戦でもまったく異なる傾向を示している点には注意したい。
前走G1組の好走馬18頭のうち、2021年3着のオーソクレース(前走ホープフルS2着)以外は前走で日本ダービーに出走していた。その日本ダービー組について前走着順、前走人気、前走4コーナー通過順別の成績を調べたのが表3である。
前走着順は5着以内なら複勝率63.6%だが、前走10着以下でも同42.1%と大敗からの巻き返しも多い。前走人気は高いほうが好結果を残しやすい。また前走の4コーナー通過順をみると、3番手以内だった馬が【4.3.2.3】で複勝率75.0%を記録している。
前走G3組の好走馬はすべてラジオNIKKEI賞に出走していた。この組は同レースで1番人気または1着だった馬が好走馬5頭中4頭。また同レースで馬券圏外だった2頭はともに、G2での連対実績を持っていた。前走も含め少なくとも重賞3着以内の実績が必須だ。
表2~4では前走との関係を見てきたが、セントライト記念は皐月賞との関連性も強いレースだ。皐月賞で3着以内に好走した馬がセントライト記念に出走すると【4.3.1.1】複勝率88.9%で、2021年のタイトルホルダー(皐月賞2着、本競走13着)以外はすべて馬券に絡んでいる。皐月賞4~5着馬も連対率40.0%と上々の成績だ。
【結論】
前走日本ダービー組3頭の争い
今年のセントライト記念は前走JRA重賞組が上位人気を占めそうで、条件戦組やオープン特別組は4番人気以下になってしまうと苦しい(表2)。また、前走ラジオNIKKEI賞組の2頭はともに同レース2番人気以下かつ2着以下で、重賞連対実績も持たないため減点が必要(表4)。よって前走日本ダービー組のアーバンシック、エコロヴァルツ、コスモキュランダの3頭による争いになりそうだ。
この3頭はそれぞれ好材料を持っており、アーバンシックは日本ダービー4番人気(5番人気以内なら複勝率87.5%)で、11着という着順も悪くない。エコロヴァルツは日本ダービーでハナを切り、4コーナーを2番手で通過(3番手以内なら複勝率75.0%)していたことが大きなプラスになる。そしてコスモキュランダはダービーの内容にこそ特筆すべき点はないが、皐月賞2着(3着以内なら複勝率88.9%)の実績は見逃せない。当日の人気は恐らくコスモキュランダ、アーバンシックが1、2番人気で、やや離れてエコロヴァルツとなりそう。過去10年の1、2番人気の安定感(表1)を重視する方ならコスモキュランダとアーバンシック、配当妙味重視ならエコロヴァルツを軸に考えるといいだろう。
ライタープロフィール
浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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