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ラグビーW杯2019

INTERVIEW

インタビュー

田村優 インタビュー前編

「目指すランクが上がった」日本代表の司令塔が感じた手応え

2019.1.18(金)

2019年、初めて日本で開催されるラグビーワールドカップ。9月20日の開幕戦に向けてファンの期待を一身に背負うホスト国、日本代表の攻撃のタクトを振るっているのがスタンドオフの田村優だ。

前回大会、日本代表が初戦で優勝候補の南アフリカを撃破し、プール戦3勝1敗という快進撃を見せたことは記憶に新しい。当時、独特のルーティーンでゴールを狙っていたプレースキッカー、フルバックの五郎丸歩はラグビーブームの象徴的存在となった。

田村はその五郎丸に代わり、現在の日本代表でプレースキックを任されている。南アフリカ戦では勝利の瞬間にピッチに立っていた歴史的勝利の立役者の一人でもあり、こうした国際経験や磨きをかけてきたスキルと判断力を武器に、チームに欠かせない攻撃の司令塔として活躍している。

刻一刻と迫ってきた、またとない大舞台への率直な思いを聞いた。

(インタビュー・構成=齋藤龍太郎、撮影=長尾亜紀、取材協力=キヤノンイーグルス)

前回大会の経験を思い出しながら日々を過ごす

──ワールドカップイヤーを迎えた今、どのように過ごしていますか?

「今(取材当時)はオフをもらっているのでしっかりと体を休めています。4年前(前回ワールドカップが開催された2015年)と比べてゆとりを持っているわけではないのですが、当時はこうしていたな、という経験をいろいろ思い出しながら過ごしています。今は“スーパーリラックス”状態で(笑)、周りからは『日本代表の活動期間とは全然顔が違うね』と言われますが、次に試合に出るのが楽しみになるような準備をしたいです」

──前回大会の反響は大きかったと思います。取り巻く環境の変化などはありましたか?

「日本人はこうした大きなスポーツイベントが好きなので、その影響は今でも感じています。ラグビー自体の知名度が上がって、全然ラグビーを知らない方でも僕のことを知っていただいていることがあります」

──昨年は「24時間テレビ」や「行列のできる法律相談所」(いずれも日本テレビ系)に出演されるなど、メディア露出が増えました。

「ラグビーの周知活動というより、出演依頼をいただいて、その時の自分の身体の状況と時期やタイミングを考えて決めてきました。いい意味でも悪い意味でも目立つようになったので、私生活には気を付けるようにしています(笑)」

自分本来の形に立ち返れれば大丈夫

──日本代表は昨年6月、イタリアとは1勝1敗(○34―17、●22―25)、ジョージアには勝ち(○28―0)、11月は強豪ニュージーランド(●31―69)とイングランド(●15―35)には敗れたものの、ワールドカップの開幕戦で対戦するロシアには勝ちました(○32―27)。振り返るとどのような1年でしたか?

「6月はいいスタートを切ることができました。そして11月の3試合で自分たちがどういう方向に変わっていかなければならないか、事前合宿のときからチーム全員で認識を共有してきました。そこからみんな本当にがんばった結果、勝ったのはロシア戦だけでしたが、得たものは大きかった。試合だけではなく準備など全てのことを含めて、本当に収穫の多い1年でした」

──なかでも世界ランキング1位のニュージーランドと同4位のイングランドとの対戦はいかがでしたか?(※日本代表は同11位。いずれも2018年11月26日現在)

「負けはしましたけど、アタックもディフェンスも本当にいいシーンが多く、練習してきたこと、目指そうとしていることを全部出し切ることができました。それでもオールブラックス(ニュージーランド代表)にはかなわなかったわけですが、僕たちが次のレベルに進むための準備ができている、またそれだけの力があるということがはっきり分かった試合でした。イングランド戦は後半、反則が増えて逆転されましたが、前半はよくできました(15―10でリード)。いい方向に向かっていること、目指しているところが1ランク、2ランク上がったことをチーム全員が認識できたと思います」

©Getty Images

──田村選手はプレースキッカーとしての重責も担っています。

「前回のワールドカップが終わった直後のゴール成功率は90%ぐらいでしたが、今はプレッシャーが勝手に自分にかかっているせいか70%ぐらいです。仲良くさせてもらっている五郎丸さんとは『いろいろ試行錯誤していくことが大事』、そして『最後は自分のものにする』ということを前のワールドカップでも話していましたので、この誤差を埋めていくことです。自分本来の形に立ち返れれば大丈夫だと考えています」

<後編へ続く>

PROFILE

田村優(たむら・ゆう)

ポジション:スタンドオフ

1989年1月9日生まれ、愛知県出身。現所属はキヤノンイーグルス(トップリーグ)。中学まではサッカーをしていたが、高校からラグビーを始め、たちまち頭角を現す。日本代表の司令塔で、プレースキッカーを任される。父・田村誠氏はトヨタ自動車、豊田自動織機で監督を務めた。弟・田村熙はサントリーで活躍中。日本代表キャップは54(2018年11月24日時点)。

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STANDINGS

順位表

 
プールA

順位 チーム 勝点 試合 得失
1 日本

日本

19 4 4 0 0 +53
2 アイルランド

アイルランド

16 4 3 0 1 +94
3 スコットランド

スコットランド

11 4 2 0 2 +64
4 サモア

サモア

5 4 1 0 3 -70
5 ロシア

ロシア

0 4 0 0 4 -141

 
プールB

順位 チーム 勝点 試合 得失
1 ニュージーランド

ニュージーランド

16 4 3 1 0 +135
2 南アフリカ

南アフリカ

15 4 3 0 1 +149
3 イタリア

イタリア

12 4 2 1 1 +20
4 ナミビア

ナミビア

2 4 0 1 3 -141
5 カナダ

カナダ

2 4 0 1 3 -163

 
プールC

順位 チーム 勝点 試合 得失
1 イングランド

イングランド

17 4 3 1 0 +99
2 フランス

フランス

15 4 3 1 0 +28
3 アルゼンチン

アルゼンチン

11 4 2 0 2 +15
4 トンガ

トンガ

6 4 1 0 3 -38
5 アメリカ

アメリカ

0 4 0 0 4 -104

 
プールD

順位 チーム 勝点 試合 得失
1 ウェールズ

ウェールズ

19 4 4 0 0 +67
2 オーストラリア

オーストラリア

16 4 3 0 1 +68
3 フィジー

フィジー

7 4 1 0 3 +2
4 ジョージア

ジョージア

5 4 1 0 3 -57
5 ウルグアイ

ウルグアイ

4 4 1 0 3 -80
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