PLAYER'S HISTORY
日本代表選手ヒストリー
ハリウッド俳優のレオナルド・ディカプリオに似ていなくもない顔立ちに、なびくブロンドの髪。国内トップリーグのプロモーション映像では、代理店の求めに応じて自らを「(グラウンドには)王子様モイマス!」と日本語で紹介した。
しかし、グラウンドに立てば華麗さよりも激しさでアピールする。普段はシャイだが仲間に愛される。ヴィンピー・ファンデルヴァルト。南アフリカ人で初めて日本代表となった黒子役だ。
7歳でラグビーを始め、母国のキングスというクラブで国際リーグのスーパーラグビーを経験する。来日したのは2013年。加入したNTTドコモでは現役の南アフリカ代表選手も一緒にプレーしていたが、対戦した日本代表経験者は「(代表選手より)あの長い名前の選手のほうが手強かった」と証言。無印のファンデルヴァルトに手を焼いたというのだ。
肉弾戦に躊躇なく頭から突き刺さり、迫りくるランナーに果敢にタックル。運動量も豊富とあって、ともに戦う選手ほどその存在を脳裏に焼き付けた。
身長188センチ、体重106キロの通称「ヴィンちゃん」は、2017年秋のツアーで日本代表デビューを飾る。もともとはフランカー、ナンバーエイトといった機動力の求められるポジションで活躍していたが、長身選手のひしめくロックで登録された。選手層の関係に伴うコンバートだったが、「光栄でした。楽しみました」と代表戦に出る喜びをかみしめる。
翌年には、日本代表の兄弟チームにあたるサンウルブズへも加入。再びスーパーラグビーに挑んだ。他にも日本代表のロックの座を狙う海外出身はいたが、「競争によって、各々のレベルが上がると思います。その競争が楽であれば気が抜ける。プレッシャーも、必要です」。緊張感を維持したまま、現体制のもとで生き残った。
ワールドカップイヤーとなる今年は、NTTドコモの本拠地のある大阪で観光大使に就任。すっかり西のご当地選手となり、現在の日本代表で15名いる海外出身者の1人として「日本ラグビーの歴史、背景を聞くことが自分の原動力、モチベーションになります。全身全霊で戦う気持ちは強くなります」。リーチ・ マイケル主将から過去の外国人選手の活躍をレクチャーされたことで、より忠誠心が高まったという。本番では、大型選手ばかりのチームとぶつかる。ひとつひとつのコンタクトに魂を込める。
(文=向 風見也)
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