日本代表メンバー31名が決定「ジョセフファミリー」の行く末は?
2019.9.2(月)
日本ラグビー界にとって初の自国開催となるワールドカップの開幕が、9月20日に迫っている。日本代表は、最終締め切りの4日前にあたる8月29日に大会登録メンバー31名を発表。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが都内で会見し、次のように語った。
「日本代表は結束力が高いチームです。チームのためなら何でもできる、身体を張れる、死ぬ覚悟で行けるという選手を鍛えてきました」
ニュージーランド出身で日本でのプレー経験があるジョセフは、2016年秋に就任。選手選考やコーチングスタッフの選定においては、家族的なつながりを作れるかを念頭に置いていたようだ。ワールドカップイヤーは、約60名の候補をふたつのグループに大別して活動。段階的に人員を絞った。時間をかけて人間関係を構築したためか、最後の顔ぶれにサプライズの要素は少ない。
「チームが何をしようとしているかというのをしっかりと理解できているかどうか」を重視したジョセフ。「ONE TEAM」というチームスローガンを引き合いに、こうも語る。
「選手、コーチ陣が意思統一を図り、連携をすることで、チームカルチャーを作ってきました。選手たちはいま、しっかりとワンチームになったと確信しています」
代表戦出場数を表すキャップの総計は、4年前の同時期の984に対して今回は683と大きく下回る。一方、代表選手の多くは国際リーグのスーパーラグビーに発足したサンウルブズでプレー。今回は特別な強化計画でこれまでにない経験値を積んできた。これがキャップ数の不足分を補うかは未知数だが、ジョセフの掲げる「ONE TEAM」という題目が無形の底力となるかが注目される。
歴史的3勝を挙げた2015年のイングランド大会からは10名のメンバーが残った。筆頭は、2大会続けて主将となるフランカーのリーチ マイケルだ。さらには運動量のある左プロップの稲垣啓太、万能型フッカーの堀江翔太、38歳で4大会連続出場というロックのトンプソン ルーク、スーパーラグビーのレッズでもレギュラー経験のあるフランカーのツイ ヘンドリック、「フィジカルモンスター」と呼ばれるナンバーエイトのアマナキ・レレイ・マフィ、日本人初のスーパーラグビープレーヤーとなった田中史朗、今回唯一の専任司令塔となるスタンドオフの田村優、「チーターより速い」と言われるウイングの福岡堅樹、クールで速くて強いウイング兼フルバックの松島幸太朗が続く。
「外国出身の選手はフィジカル的な存在感、体格の大きさをもたらしてくれる」
スクラム中央のフッカーや攻撃の起点となるスクラムハーフという専門職では3名ずつリストアップされた一方、ボールを回すバックスでは松島、松田力也、ラファエレ ティモシー、ウィリアム・トゥポウと2つ以上のポジションができる人員が並んだ。ジョセフはこう語る。
「(怪我人が出た場合も)31名のなかでカバーできるように試行錯誤して(メンバーを決めた)」
メンバーリストには、忠誠心、多文化共生、有事への対応力がにじむ。期待されながら落選したイングランド組がいることなどから、現代表のセレクションは議論も招いてきた。しかし、選手を決めるのはヘッドコーチの専権事項。特権を行使するかわりに結果責任を負うのは、ワールドカップに挑む全20名の指揮官に共通する。
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