ラグビーの日本代表にはなぜ外国人選手がいるの?
2019.9.18(水)
ラグビーにおけるナショナルチーム入りの資格条項に、国籍はない。「当該国居住3年以内、他国代表経験なし」という条件さえ満たせば、すべての国の選手もすべての国の代表を目指すことができる。
さらに近親者の生まれた国でならば、居住期間に関わらず代表資格を得られる。例えば、15歳で来日した日本代表のリーチ マイケル主将は、生まれ育ったニュージーランド、父がルーツを持つスコットランド、母のいたフィジーで代表になる選択肢も持っていた。その中から、リーチは20歳の時に、日本のナショナルチームで世界と戦うことを選んだ。
*ただし、いったんひとつの国で代表になってしまうと、他国の代表を目指すのことは極めて難しくなる。
間もなく開幕するワールドカップ日本大会に参加する全20チームのうち、自国出身者だけでメンバーを固めたのはナミビア代表、アルゼンチン代表の2チームだけ。残り18チーム中16チームは、世界ランクで自国より同等かそれ以上の国の戦士をメンバーに選んでいると見ていい。
日本代表も、骨格や突進力に長けた海外生まれの戦士を歴史的に重用してきた。自国開催の今度の舞台へは、過去最大となる15名の海外出身者を仲間に入れている(ジンバブエ生まれの松島幸太朗は除く)。選手同士のミーティングは「グローカル」と呼ばれ、多文化共生の意味をにじませる。
さらにはリーチ主将は「日本代表の主将をするには、英語が話せないと苦労します」と話す。英語圏のレフリーと真摯かつ冷静なコミュニケーションが取れなければ、どうとでも取れる局面での判定に泣きかねない。
現代表でリーチのほかにゲーム主将を務めそうなのは、南アフリカ出身のピーター・ラブスカフニだが、2019年以降に日本人主将を求めるとしたら、英語力はマストとなるだろう。
仮にリーダーに相応しい日本人選手が現れたとしても、ここ数年の高校ラグビー界での選手の体格を踏まえれば、当面は骨格や突進力に長ける外国出身者は一定数、求められるだろう。
(文=向 風見也)
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