【アイルランド戦:見どころ】安定感抜群の強豪に激突!名参謀はどう見る?
2019.9.27(金)
緻密な戦術家は波長が合うのか。ラグビー日本代表のトニー・ブラウンアタックコーチは、対するアイルランド代表のジョー・シュミットヘッドコーチについてこう話した。
「彼は世界でも優秀なコーチで、我々と似たフィロソフィーを持っている。そのため当日は、エンターテイメント性のある試合展開になると思う」
9月28日、静岡・エコパスタジアム。日本代表はラグビーワールドカップ日本大会の予選プールAの2戦目に挑む。
対するアイルランド代表は2018年の欧州王者で、切れ目の少ない防御と1対1や接点でのパワーを持ち味とする。何よりシュミットは、世界ランクで下回る日本代表の情報にも妙に敏感。司令塔のジョナサン・セクストンこそ故障欠場させるも、侮る気配はない。
遡って22日には、スコットランド代表との初戦を27—3で戦い終えている。勝った指揮官はこの調子だった。
「日本は素早い試合展開をする。流(大=スクラムハーフ)、田村(優=スタンドオフ)は幅広いパスができる。ラファエレ(ティモシー=アウトサイドセンター)もミットフィールドの素晴らしい選手。松島(幸太朗=ウイング)はロシア代表に対して効果的でした(3トライを挙げた)。フロントにもダイナミックな選手がいる。ジョセフがどう選手をまとめるかはわからないが、それに対して我々は対処します」
この敬意がかえって不気味なアイルランド代表に対し、日本代表でジェイミー・ジョセフヘッドコーチの参謀を務めるブラウンは「アイルランド代表はいいアタック、キックからのプレッシャーをいいコンビネーションで使っていました」と称賛。計画しているゲームプランについて、こう話していた。
「ジャパンも、キックからのチェイスでプレッシャーをかける。またボールを持っている時はスピードを持って、相手に勢いでプレッシャーをかけたいです」
ボールキープ力の高い相手にボールを渡さず、隙間のなさそうな防御の切れ目に好ランナーを差し込み攻めに「スピード」「勢い」をつけたいようだ。もしくは相手のウイングがタッチライン際後方を留守にした際、精度の高い「キック」を発動。その弾道を追う「チェイス」の動きとの合わせ技で、蹴り返させたボールをもらってさらなる波状攻撃を仕掛けたいところか。
とにかく向こうの希少な弱点を踏まえたうえで、最終的に自分たちの土俵へ持ち込みにかかる。
守っては、ゲーム主将となるピーター・ラブスカフニのタックル、球への絡みが注目されるだろう。ブラウンは続ける。
「アイルランド代表は世界のなかでもボールキープ力が高い。しっかりとディフェンスし、オーバーチャンスをうかがう。基本的な考えは変わらず、整備されたディフェンスでしっかりとタックルする。相手のミスから隙を突いて攻撃し、プレッシャーをかけるのが重要です」
両軍は2017年6月に2連戦し、アイルランド代表が全勝。もっともこの折のバトルは、あらゆる意味で参考にならないだろう。当時の日本代表がコンディショニングなどの面で発展途上だったのに対し、いまのアイルランド代表はその頃にいなかった主力をずらりと揃えている。
あくまで、いまの日本代表といまのアイルランド代表との一騎打ち。アップセットに向けては、ブラウンが掲げる勝利の条件をすべて揃えるのがマストとなろう。
(文=向 風見也)
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