【サモア戦:見どころ】「歴史的勝利→苦戦する相手と対戦」という状況に、左右されてはいけない!
2019.10.4(金)
ラグビー日本代表は10月5日、愛知・豊田スタジアムでラグビーワールドカップ日本大会・予選プールAの3戦目に挑む。相手はサモア代表だ。
9月28日には静岡のエコパスタジアムで、「静岡の歓喜」を創出。開幕前に世界ランク1位だったアイルランド代表を19-12で制し、2勝0敗を挙げている。総勝ち点を5チーム中1位の9とし、史上初の決勝トーナメント進出に一歩ずつ迫っている。
しかしリーチ マイケル主将によれば、翌週の練習場やホテルにおいて「アイルランド代表戦がどうのこうのという話は出ていない」。ワールドカップにおける強豪国からの歴史的な白星は、4年前の南アフリカ代表戦に続き2度目。今度は携帯電話が鳴りやまない現状にもパニックにならないなど、組織として成熟の一途を辿っているようだ。
スタンドオフの田村優は9月30日の段階でこう言っていた。
「過去2試合は終わったこと。また今日から新しい1週間が始まったので、先週よりもいい準備をすることしか考えていないです」
リーチは「自分たちが何をしなきゃいけないかにフォーカスしている」とも話す。トニー・ブラウンアタックコーチの落とし込む攻撃戦術、スコット・ハンセンディフェンスコーチが「こだわってきたのは周りを見ること、把握すること」と整理してきた鋭い出足の防御を実践する。
攻防の起点となるスクラムでは、身体の大きなチームに対抗すべく「8人対10人」と相手側が2人多い状態で組む練習を実施。長谷川慎スクラムコーチは「力を漏らさないスクラム」を唱え、前後左右の選手の密着と芝へのスパイクの引っ掛かりが不可欠とする。相手を自分たちの土俵へ引きずり込むべく、工夫を凝らしている。
最前列中央のフッカーには、次戦でワールドカップ初先発の坂手淳史が入る。覚悟を示す。
「引いてはダメ。僕らは1歩でも前に出て、固まって組んでいければ」
対するサモア代表はここまで1勝1敗。総勝ち点を5としている。9月30日には兵庫・神戸御崎公園球技場で、欧州6強の一角であるスコットランド代表に0-34で完敗。さらにここまで2戦において、取り消されたものを含め4枚のイエローカードを食らっている。
日本代表は「自分たちが何をしなきゃいけないかにフォーカス」の延長で相手の反則を引き出せれば、勝利と同時に4トライ奪取によるボーナスポイント獲得にも近づく。しかし、「常にトライ、トライと意識し過ぎたら、ミスをした時に相手にチャンスを与えたりすることもある。まずは勝つこと」とは、ベンチスタートでベテランスクラムハーフの田中史朗。「自分たちが何をしなきゃいけないかにフォーカス」の前提には、最近の相手の苦戦ぶりに左右されないことと同義だ。
(文=向 風見也)
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