【南ア戦:見どころ】甘くはないゲームに自信を持って臨む
2019.10.20(日)
日本代表のオープンサイドフランカーを務めるピーター・ラブスカフニは、10月20日、出身の南アフリカ代表とラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の準々決勝の場で戦う。
日本代表が初の決勝トーナメント行きを果たしているのに対し、南アフリカ代表は過去優勝2回の強豪。4年前のイングランド大会で日本代表に屈した時に見られた弛緩は、ノックアウトステージの今回は皆無と見てよい。
タフなステージへ挑むにあたり、ラブスカフニは記者会見で述べた。
「私は南アフリカを愛していますが、日本も、ここにいる皆さん(報道陣)も愛しています。これが私のチームです。立てていた目標は達成しましたが、ここで止めるつもりはない。これまでやってきたことをやり続ける。お互いのために戦うことが大事です」
日本で生まれ育ったかつてのラグビー少年と強豪国などから来日した戦士が集う日本代表。今度はパワフルさを前面に押し出す南アフリカ代表に対し、「スマートに戦う」とスクラムハーフの流大。ち密なストラクチャーからの攻めと素早いサポートで、南アフリカ代表相手のチョークタックル(相手を掴み上げる防御)とジャッカル(接点でボールに絡むプレー)を抑制。そのうえで適宜、スペースへ球を散らしてゆく。
「いつも冷静に声をかけながら、特にフォワード(身体をぶつけ合う選手)にはエナジーを与え続ける。あとは選手と選手をつなぐコミュニケーションを取り、コーチ陣が授けてくれたプランを遂行し続けるのが僕の仕事です」
相手の脅威には、ウイングのチェスリン・コルビが挙げられる。身長170センチと小柄もジャンプ力とランニングに長ける通称「ポケットロケット」だ。
もっとも日本代表の防御で注目されるのは、「コルビを止められるか」よりも「コルビにスペースを与えずに済むか」だろう。全体的に大砲を並べる南アフリカ代表の攻撃を、鋭い出足のダブルタックルで止めて、止めて、止めまくる。かくして自軍の攻撃権を得て「スマート」に戦えれば、ようやく、勝機を掴める。
タフなタックルとジャッカルが際立つラブスカフニは、さほど興奮していないような口ぶりで勇ましい言葉を並べる。
「重要なのは、このチームがどこから来ているのかです。様々な背景から集まった私たちはワンチームとして、一つのゴールに向かっている。今週の準備は先週(予選プール)までと異なっていません。試合をする準備が整っていて、成功したいなら計画通りに進めるべきと知っています。ティテールにこだわっています。今週、皆、燃えていて、早く試合がしたいという気持ちです」
甘くはないゲームに、自信を持って臨む。開催国代表の、それが現在地だ。
(文=向 風見也)
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