SCHEDULE
日程・結果
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2019.10.20(日) 19:15Kick off 東京スタジアム
準々決勝
日本
3 - 26 試合終了
南アフリカ
ハイライト動画
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戦評
赤か緑の応援ウェア、もしくは仮装グッズを着た48831万人のファンの声援を受け、ラグビーの日本代表が列をなしてグラウンド入りする。南アフリカ代表がタッチラインの内側へ入るやあちこちへ散るのに対し、ホームカントリーの多国籍集団は所定の立ち位置まで列をなして移動。「両国国歌斉唱」というプログラムを経て、いよいよ相手ボールでのキックオフを迎える。
10月20日、東京スタジアム。4年に1度あるワールドカップの準々決勝を初めて体験する。
万雷の「ニッポン!」コールを受け、トニー・ブラウンアタックコーチらの描くプランを遂行。スタンドオフの田村優が防御の死角へキックを蹴る。
長谷川慎スクラムコーチの教えを身体にしみこませたフォワード陣は、相手が得意なはずのスクラムをじりじりと押して反則を誘う。右プロップの具智元が好プッシュを決めた刹那、バックスの選手も激励に集まった。前半は3-5と競った。
もっとも最後は、3-26で敗れた。南アフリカ代表は、身体をぶつけ合うフォワードのポジションの交代要員を通常より1枚多く準備。それらをハーフタイム直前からどんどん投入し、その1人ひとりがお家芸のモールや防御時の接点で際立つ。特に、3-21と点差がついてからピッチに出たロックのフランコ・モスタート、ナンバーエイトのフランソワ・ロウは渋く光った。
「誰もが素早く動くのが日本代表。そのプレーにマッチさせようと思いました。我々のフォワードは非常にきつくなるとわかっていて、徐々にフレッシュレッグを入れるようにした。フィジカルの局面に力を入れるのが大事でした。同時に日本代表のスピードには(先発のバックスで)対処できると思いました」
こう説明するのは、勝ったマシー・エラスムス監督。運動量と敏捷性を活かしそうな日本代表を相手に、どこまで自分たちの強みを押し出せるかを考慮していた。
かたや日本代表はベンチワークに苦心した。激しいタックルを浴び続けた左プロップの稲垣啓太と田村は、後半7分に途中交代。稲垣に代わって入った今大会好調の中島イシレリは、スクラムや肉弾戦でペナルティを犯したうえ、続く28分には怪我と見られる理由で稲垣と再びチェンジ。かたや大会中に「クローザー」として活躍した控えスクラムハーフの田中史朗が出るのは、かなり遅くなってからだった。
予選プールでは交代策で際立った日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチだが、ノックアウトステージでの武闘派集団とのゲームでは思うに任せなかったようだ。
「(一部選手の)まぁろっ骨が折れたかなということがあったので、ハーフタイムにその点を確認しなくてはならなかった。(その時点で)控えを出すかとも思いましたが、その段階では(勝利を目指せる)チャンスを考え、留まるべきだと考えました。そういうことで田村の変更(は当該のタイミング)となった。稲垣はかなりハムストリングで心配があった。…とにかくフィジカルなゲームでした。南アフリカはフィジカルなゲームを誇りにしています」
そもそもボール支配率で約7割と首尾よく戦っているように映った前半も、田村曰く「相手がシンビンになって、(日本代表は)色んなプラン、色んな事が出来ちゃったので、逆に(当初の計画が)ぶれてしまったところがありました。本当はもっと蹴りたかったですけど」。南アフリカ代表の左プロップのテンダイ・ムタワリラが10分間の退出処分を受けた前半10分以降、ややボールを長く持ちすぎてしまった結果なのではと分析していた。
いずれにせよ日本代表は、現体制発足前から続くハードワークの文化と現体制が打ち出したファミリーライクなチーム作りによって前人未到の地にたどり着いた。それと同時に、前人未到の地で勝ち抜く厳しさを知った。
今回得られた皮膚感覚は、今後の強化にどうつながるか。次回大会は2023年、フランスである。
(文=向 風見也)
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